汚い手 ページ39
因みに今朝も怒濤の卵かけご飯だった。泣きたくなった。もううんざりだという顔をして見せながら首を横に振ると、沖田は「勝機!」とでも言うような得意気な笑みを浮かべ、私を指差した。
沖「俺達は真選組だ。それなりの報酬は約束できるぜィ?」
「!!」
……成る程。コイツがさっきから妙に自信ありげだった理由が解った。コイツはアレだ。私達の金銭的危機を利用して彼らの生活的危機をどうにかしようと企んでいるんだ。私達が毎度金欠なのは知れた話。そこをコイツは『報酬』、つまり金で吊り上げようというなんとも汚い手を使おうとしているんだ。
沖「どうでィ。お前にとっても悪い話ではねーはずだ」
新「なんかやり取り聞いてるとすごい悪人の会話に聞こえるよ…」
確かに。報酬だとか悪い話じゃないはずだとか、聞いてる分には何か良からぬ取り引をしているようにも聞こえなくはない。
そんなことを考えながら私は頭を巡らせる。でもそうか。二日間くらい胸くそ悪いがコイツらの所で働いたら今のこの地獄のような卵かけご飯ライフから脱出できるかもしれないと。そういうことか。そうなると、まぁ確かに悪い話ではない。
銀「汚ねぇぞテメー金で吊る気かコラ」
神「私達は卵かけご飯で十分幸せなんだヨコラ」
「いやそれ多分神楽だけだと思う」
幸せは人それぞれだ。それが神楽にとって幸せでも私にとっては地獄なのだ。勘弁して頂きたい。
銀「冗談じゃねーよ誰がオメーらのとこなんかで働くか」
沖「なら、そこのトリップ娘だけでも構いやせんよ。一人いるだけで違いやすから」
銀「…あ?」
と、銀ちゃんはその言葉を聞き、ピクリと眉を寄せた。その真意は分からないが、なんだか急に銀ちゃんが不機嫌を滲ませる。
銀「ふざけんのもいい加減にしやがれ税金泥棒。テメーらみてーな飢えた野郎共の溜まり場なんかに放り込める訳が……」
「いいよ。行ってあげても」
銀「……は…?」
ハアアア!?という三人の叫び声が万事屋に響いた。沖田は鬱陶しそうに耳を塞いだ。
新「ま、マジで言ってんですかAさん!」
神「自分が何言ってるか分かってるアルカ!?」
銀「おまっ、バカだろ!!やっぱりバカだろ!!」
「何ようるさいな。大袈裟でしょ助っ人くらいで」
何をそんなに慌てることがあるんだと私は顔をしかめる。神楽に肩を掴まれて揺さぶられてるし新八や銀ちゃんの顔はマジだし面倒臭い。
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ピピコ(プロフ) - 悠さん!『忘れねぇよ』に続きこちらでもコメントありがとうございます!この作品はギャグもシリアスもお楽しみ頂けるものにしているつもりなので、そう言って頂けると嬉しいです!長ったらしく続いておりますが、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです! (2017年8月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - とても面白かったです!特にギャグの部分が好きです。トリップの話は今回初めて読みましたが、感動しました!これからも、頑張ってください!応援しています!ピピコ様の書く小説大好きです! (2017年8月9日 16時) (レス) id: 7d25b2e8fd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - オロナミンCさん» そんなに誉めて頂けるとは…!!感激です!ギャグとシリアス、どちらも楽しんで頂けているなら幸いです!!これからも笑いあり涙ありを目指して頑張らせて頂きますので、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!ありがとうございました!! (2017年7月29日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
オロナミンC - ギャグもシリアスもちょうどいいぐらいにあってとても読みやすく面白く感動します。楽しく読ませていただきました。 (2017年7月29日 17時) (レス) id: e86c711444 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - いちごみるくさん» 本当ですか!?そう言って頂けて嬉しい限りです!これから少しずつ物語が動いてくるので感動できるものを書けるように頑張ります!ありがとうございます!! (2017年5月3日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年4月19日 11時