逃げないと ページ30
Aside
神「おやすみヨ〜」
「おやすみ〜」
銀「おー」
私がお風呂から上がってすぐ、神楽は早くも自分の寝室(押し入れ)に歩いて行った。現在時刻夜の9時。「夜更かしは美容の大敵ネ!」ということで神楽はいつも早寝だ。私は美容だとか、そんなに興味はないので寝る時間は適当である。
そして、銀ちゃんと二人きりになった今。
「…」
銀「…」
…気まずいイイ!
沈黙が痛い。静かなのが不安。静寂が苦しい。先程のあの件から、私はずっとそう思っていた。今までは神楽がいたからまだいいものの、現在二人きりになってしまったため、私はソファーに座り平常を装い天井に目を泳がせることしか出来ない。
(…さっきの銀ちゃんは、何を思ってたんだろ…)
私が銀ちゃんの昔のことについて聞いた時の銀ちゃんの顔は、見たことのないものだった。そしてそのあと、あからさまに線を引かれたような気がして。
……昔のことを聞くなんて野暮なことしなきゃよかった。誰だって言いたくないことの一つや二つくらいあるのは当然のことなのに。…なんて無神経なんだろう。私。自分が嫌になる。
あれから、帰り道こそ本当に変な雰囲気で、会話もなかったものの、万事屋に帰ってくるといつも通りで、普通に会話もしたし、変わらないちゃらんぽらんぷりだった。でも、
(…もしかしたら、私に気を使ってるのかも)
銀ちゃんのことだ。有り得る。私が気にしてると思ってそれを紛らわすためにいつも通りに接してくれているのかもしれない。
…でもきっと私は、銀ちゃんにとって良くないことを言ったんだ。それだけは言える。
だったら、することは一つだけど、どうやって切り出していいか分からないし、それに、
銀『俺はAの思ってるような人間じゃねぇ』
そう言った銀ちゃんのあの顔が、頭から離れてくれなくて、困る。
もしかしたらもう、さっきの話の続きはもうしたくないかもしれない。私が謝ることすら望んでいないかもしれない。それなのにまた掘り返すのは、もっと野暮なんじゃないだろうか。
そんな不安があり、私は今も口を開けないでいる。自分勝手で弱くて無神経でどうしようもなくて、情けない。そんな自分が本当に嫌で、憎くて嫌いで。
…でも、あんな顔をしていた銀ちゃんを忘れて、受け止めずにこのまま曖昧なまま終わらせていつも通りに戻って、いいという気持ちはしない。
…それは多分、私も銀ちゃんも逃げているから、だと思う。
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ピピコ(プロフ) - 悠さん!『忘れねぇよ』に続きこちらでもコメントありがとうございます!この作品はギャグもシリアスもお楽しみ頂けるものにしているつもりなので、そう言って頂けると嬉しいです!長ったらしく続いておりますが、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです! (2017年8月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - とても面白かったです!特にギャグの部分が好きです。トリップの話は今回初めて読みましたが、感動しました!これからも、頑張ってください!応援しています!ピピコ様の書く小説大好きです! (2017年8月9日 16時) (レス) id: 7d25b2e8fd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - オロナミンCさん» そんなに誉めて頂けるとは…!!感激です!ギャグとシリアス、どちらも楽しんで頂けているなら幸いです!!これからも笑いあり涙ありを目指して頑張らせて頂きますので、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!ありがとうございました!! (2017年7月29日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
オロナミンC - ギャグもシリアスもちょうどいいぐらいにあってとても読みやすく面白く感動します。楽しく読ませていただきました。 (2017年7月29日 17時) (レス) id: e86c711444 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - いちごみるくさん» 本当ですか!?そう言って頂けて嬉しい限りです!これから少しずつ物語が動いてくるので感動できるものを書けるように頑張ります!ありがとうございます!! (2017年5月3日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年4月19日 11時