有り得ない ページ20
銀「…んで?まだ何かあんの…?」
不毛な言い合いでなんだか体力を消耗した私達。お互いになんだか顔に疲労が見てとれるのは気のせいか。うんざりだとでも言いたげな銀ちゃんがそう言うので、私はまたうーん、と頭を捻る。
銀ちゃんのことを知りたい。そう思っていても、何を知りたいのか、何を聞きたいのかはよく分からない。ソイツのことを知りたいという漠然としたことしかちゃんとした輪郭はできておらず、質問内容はあまり出てきてくれないのだ。厄介なものである。
「…じゃあさ、銀ちゃんの一番好きな食べ物は?」
至極普通のことすぎるだろうか。内容がなんだか幼稚なものになっていく気がする。その質問を受け銀ちゃんは「好きな食べ物…」と繰り返しながら考えているようで。
銀「……パフェ?」
「…なんか予想通りだな、もっとこう、予想を裏切る何かはないの何か」
銀「そーいうのも求められてんの!?ギャップとか求められてんの!?なんのオーディション!?」
別にオーディションをしたい訳ではないのだが、あまりにも予想通りすぎる。銀ちゃんが極度の甘党であることはよく知っている。常連客として色んなお店の人と顔見知りなのだから。例えツケを払わないクソみたいな客だとしても。
「なんか、スイーツじゃなくてさ、なんかないの?」
銀「スイーツ以外で………宇治銀時丼とか?」
「なにそれ?」
聞き覚えのない名前である。それに首をかしげれば、ソイツはなんだか自慢げというか、ニヤリとして見せた。
銀「絶品だぜアレは。ホカホカご飯の上にあんこをたっぷりかけて食う…」
「あ、ごめんその話はいいや」
銀「いや何でだよオオオ!?」
あからさまに顔を歪めて言えば不服そうに文句をたれる銀ちゃん。いやだってご飯の上にあんこって……ちょっと私的には有り得ない。甘いもの好きだけどそれは有り得ない。想像できない。
「……なんかさ、思ってたけど銀ちゃんと土方さんって似てるよね…」
銀「あ”ァ!?何処が似てんだよ!!」
あんなのと一緒にするなと訴えてくる。でも似てるよ。身長も同じだし味覚バカだし。
まぁ取り敢えず私はきっとその宇治銀時丼は絶対に口にすることはないだろう。だって嫌だもん。
……まぁ兎に角、銀ちゃんがバカみたいに甘党だということはわかった。
「んで?後はなんかある?」
銀「いや俺に聞くなよ!!!」
そんな感じでまた不毛な言い合いが始まりそうになったとき。
店「へい、お待ち〜」
と、お待ちかねのみたらし団子が運ばれてきた。
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ピピコ(プロフ) - 悠さん!『忘れねぇよ』に続きこちらでもコメントありがとうございます!この作品はギャグもシリアスもお楽しみ頂けるものにしているつもりなので、そう言って頂けると嬉しいです!長ったらしく続いておりますが、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです! (2017年8月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - とても面白かったです!特にギャグの部分が好きです。トリップの話は今回初めて読みましたが、感動しました!これからも、頑張ってください!応援しています!ピピコ様の書く小説大好きです! (2017年8月9日 16時) (レス) id: 7d25b2e8fd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - オロナミンCさん» そんなに誉めて頂けるとは…!!感激です!ギャグとシリアス、どちらも楽しんで頂けているなら幸いです!!これからも笑いあり涙ありを目指して頑張らせて頂きますので、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!ありがとうございました!! (2017年7月29日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
オロナミンC - ギャグもシリアスもちょうどいいぐらいにあってとても読みやすく面白く感動します。楽しく読ませていただきました。 (2017年7月29日 17時) (レス) id: e86c711444 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - いちごみるくさん» 本当ですか!?そう言って頂けて嬉しい限りです!これから少しずつ物語が動いてくるので感動できるものを書けるように頑張ります!ありがとうございます!! (2017年5月3日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年4月19日 11時