直球勝負 ページ17
…いつか私は、銀ちゃんに自分のことを、私がずっと一人で何を思っていたか、何を感じていたか、今までどんな風に生きてきたかを泣きながら話したことがある。私なんていなくたっていい、私がいなくなっても悲しむ人なんていないんだと、取り乱しながら言って、でもそれを銀ちゃんは何でもないように受け止めてくれて。
今思えばあの時の私は相当恥ずかしかったと思う。涙で顔ぐしゃしゃだったし子供みたいに泣いてたし、思い出すと顔から火が出そうになる。
でも私は、銀ちゃんのことをまだ何も知らない。銀ちゃんはある程度私のことを知っていると思うけれど。
私が銀ちゃんのことについて知っていることといえば、と向かいに座り窓の外を眺めているソイツに目を向ける。
…ふわふわなわたあめみたいな銀髪天パ。
…パチンコとかギャンブル大好き。
…死んだ魚のような目。
…いつも気だるげ。
…甘党。
…ダメ人間。
……ほぼ悪口しか出てこないのはどうしてか。私が悪いのか。いやきっとコイツのいつもの行いが悪いのだ。絶対そうだ。私は悪くない断じて。
…まぁ、私が銀ちゃんのことについて知っているのは、悲しいがこれくらいのもので。それに、
(…思い返してみれば、)
銀ちゃんはいつも誰かの話を聞いてばかりで、自分のことは言おうとしていないような気がする。くだらないどうでもいい事ばかり言うくせに、自分のことは何も。
きっと、私は今こうして銀ちゃんの近くに居るのに、お姉ちゃんとかの方が多分コイツのことを知ってると思う。新八や神楽は尚更。
……私ばっかり、何も知らないのかもしれない。
それってなんか、…寂しいじゃん。
寂しい、それとなんだか悔しいという訳が分からない感情が要り混じって複雑な心模様である。窓の外を見るふりをして横目でソイツを見つめながら、らしくもなくそんなことを思う。
……小さな、ほんの些細なことでもなんでもいい。
銀ちゃんのことを知りたい。何故かそう強く思えた。
そうとなれば、どうしたものか。
店「んで?ご注文は?」
銀「んー…そうさなァ…」
腕を組んでメニューの書いてあるプレートを見つめる銀ちゃんを私は見つめる。
……まぁ、回りくどい作戦を立てるほど私は頭も良くないし器用でもないんで、
……取り敢えず、直球勝負で行かせて貰うことにしますか。
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ピピコ(プロフ) - 悠さん!『忘れねぇよ』に続きこちらでもコメントありがとうございます!この作品はギャグもシリアスもお楽しみ頂けるものにしているつもりなので、そう言って頂けると嬉しいです!長ったらしく続いておりますが、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです! (2017年8月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - とても面白かったです!特にギャグの部分が好きです。トリップの話は今回初めて読みましたが、感動しました!これからも、頑張ってください!応援しています!ピピコ様の書く小説大好きです! (2017年8月9日 16時) (レス) id: 7d25b2e8fd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - オロナミンCさん» そんなに誉めて頂けるとは…!!感激です!ギャグとシリアス、どちらも楽しんで頂けているなら幸いです!!これからも笑いあり涙ありを目指して頑張らせて頂きますので、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!ありがとうございました!! (2017年7月29日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
オロナミンC - ギャグもシリアスもちょうどいいぐらいにあってとても読みやすく面白く感動します。楽しく読ませていただきました。 (2017年7月29日 17時) (レス) id: e86c711444 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - いちごみるくさん» 本当ですか!?そう言って頂けて嬉しい限りです!これから少しずつ物語が動いてくるので感動できるものを書けるように頑張ります!ありがとうございます!! (2017年5月3日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年4月19日 11時