救われた ページ32
＊
……あの後すぐに鶴見さんが病室に戻ってきて薬を渡してくれた。それを飲んだ私は少ししたら大分落ち着いて、息切れも動悸もなくなっていた。まだ指先は色を失ったままで冷たいし、顔色はまだ悪いのだろうけれど、もう暫くしたら色を取り戻して、体温も上がってくるはずだ。白色は嫌いだ。私自身が白くなると、病室に同化したよな気分になる。私はこの、何の飾り気もない部屋があまり好きではないから。
まぁ、そんなことを言ったところで仕方のないことだと分かっているし、病室を好きだなんて人は居ないということも分かっているけれど。どうしようもないことの一つだ。
「ご心配をお掛けしました」
声も正常に出るようになり、私は病室の椅子に座って、何も謂わずに私の傍に居てくれた彼にそう呟いた。私が言葉を発し、さっきよりは普通に笑えているのを見てか、銀さんはスコシダケ安堵したような表情を浮かべた。彼があんなにも焦った顔を見せるのは初めてだったから、相当な心配を与えてしまったのだと思う。とても申し訳ない。けれど銀さんは言う。「謝ることじゃねーだろ」と。
「俺何もしてねーし」
と、彼は口にした。そんなことはないと、私はすぐに迷うことなく首を横に振った。その言葉を否定するために。彼の今の言葉は、否定しなければならないのだ。
「心強かったですよ、とても」
…私が発作を起こすとき。両親がが傍に居るときに起こすこともあるけれど、両親が病室に訪れていないタイミングの場合、私は一人だ。何も出来ないまま、鶴見さんや他の看護師さんが来てくれるのを待って、薬を飲んで。そうやって今までやってきた。けれど、一人ぼっちの空間で苦しむというのは、とても、怖いことだった。このまま一人で死んでしまうのではないかと。心細くて、世界で孤独になったかのような気持ちになる。
…そこに、銀さんが居てくれたから、私はとても救われた。だから、何もしていないなんて言わないでほしかった。
「ありがとうございます」
彼はいつも、私のことを助けてくれる。彼にはその気がないのかもしれないけれど、私はそう思っている。それだけで十分だった。
「…おう」
と、彼は私の言葉に短くそう返してくれた。なんだか少しだけ、照れ臭そうに見えた。
それから、もうひとつ、聞きたいことがあって、私は口を再び開いた。
「…ビックリしたでしょ、さっきの」
彼は私の発作を見るのは初めてだ。
「…まぁ、それなりには、な」
彼は視線を伏せたまま、そう呟いた。
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ピピコ(プロフ) - 香織さん» 香織さん！ありがとうございます！！アニメ化…！！そんなに言って頂けるなんてめちゃくちゃ嬉しいです…！！現在最終章滑走中ですので最後までお楽しみ頂けたらなと思います！！これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！！ (2020年2月19日 15時) (
レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
香織(プロフ) - おもしろかったです！なんならアニメ化してほしいくらい感動しました！投稿頑張ってください！ (2020年2月19日 13時) (レス) id: feeb4f844f (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 麗華さん» お返事遅れてすみません…！！銀さんがたまにドギマギするのが個人的に好きなので(笑) 夢主ちゃんはそうですね、ふんわりとしたイメージの優しげなイメージです^^ (2018年3月27日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - こちらも面白いです！銀ちゃんの反応、たしかに面白いですよね！夢主ちゃんがとっても優しい！スゴいですよ！この世界にこんないい人いるかなって考えちゃいました！ (2018年3月24日 9時) (レス) id: b003dc750d (このIDを非表示/違反報告)
aina♪(プロフ) - こちらこそお願いします！(o^―^o)ﾆｺ (2018年3月21日 23時) (レス) id: 1890f311d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2018年2月16日 19時
