【銀魂】君と共に生きる春 3【坂田銀時】

似た者同士 ページ9

「どちらかというと、漫画とかの方が好きそうに見えます」

「ご名答ですよAさん」


銀さんはそんじゃそこらとは比にならないくらいの、屈指のジャンプ読者なんです、と。俺がおかしな被害妄想をしている間に新八は人差し指をピンと立ててAにそう語った。神楽は未だにAの文庫本を眺めていて、どうやら最初の方のページを少しだけ読み進めているようだ。視線がページの上から下へと移動していって、一番下までいくと上へと戻ってはまた同じように繰り返す。ここまでソイツが大人しいのは中々にレアである。そんなソイツを他所に、Aは「ジャンプって少年漫画だよね」とその話題に食い付いている。


「多分この病院の売店にも売ってるよね。週刊少年ジャンプ」

「そうそう、たまにここの売店から買って帰りますしね」


そう。ここの病院の売店として入っているコンビニにもジャンプが販売しており、面会しに来た日にジャンプが発売だったことがあったので、俺はそこで何回かジャンプを購入したことがある。そのコンビニでは漫画や雑誌が豊富だ。きっと患者達の退屈しのぎのために、多種置いているのだろう。少年漫画から少女漫画まで揃っている。コミックスなんかも少しだけ。そこらのコンビニより優秀である。

Aは口振りからしてあまり漫画は読まないのだろうか。でも、Aが漫画を読んでいることなんて見たことがないし、いつも小説を読んでいるから、そのイメージで逆にAが漫画を読んでいるところを想像できなかった。


「週刊ってことは、毎週出るってことですよね？」

「あァ」

「毎週欠かさずに買ってるんですか？」

「そりゃあな、続き気になるし」


面白い漫画は続きがどうしても気になってしまって、もういい加減卒業しないとと思っているのに、発売日になると気が付いたら手にはビニール袋がぶら下がっていて、中にはジャンプがバッチリ入っているという謎の現象が起きている。俺は恐らくこの先死ぬまでジャンプ読者をやめることは出来ないだろうと思う。

俺が言うと「そんなに面白いんですね、ジャンプの漫画って」と興味がありそうな雰囲気で呟いた。


「面白れェよ。かっぱえびせんと同じだ。やめられない止まらない」

「成る程、ジャンプとかっぱえびせんは似た者同士なんですね！」

「いや、違うと思いますけど」


冷静な突っ込みが飛んできたがそれには無視をして。俺は「どんな漫画があるんですか？」とのAの問い掛けに答えるべく口を開いた。


Aが俺の言葉に相槌をうってくれるのが、なんだか嬉しかった。

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