【銀魂】君と共に生きる春 3【坂田銀時】

誇らしい ページ39

「面白かったですよ！掲載されてるお話は全部読んだんですけど、中でも銀さんが前に教えてくれたワンビースとかぎんたまんとか！」


流石は生粋のジャンプ読者が言うことですね！とAはジャンプをベッドテーブルの上に置いてパラパラとページをめくり、ぎんたまんのページを開きながらそう言った。10年以上のジャンプを愛読している身としては、そんな言葉になんだか誇らしい気分になった。が、次の瞬間には「あ゛！まだ読んでなかったりしますか…！？」とAが焦ったような顔をして俺に気遣ったのか慌ててバタンッとジャンプを閉じながらにそう聞いてきた。俺は「あァ、へーきへーきもう読んだ」と返す。今月号は俺も勿論購入して読み込んでいるため、扉のイラストも見覚えがあるし内容も頭に叩き込んであった。やはり漫画にせよ小説にせよ、読んだり見たりすることを好むもの同士そういった気遣いは欠かせない。

Aは「良かったぁ」と安堵したような吐息を漏らしては、再び先程と同じページを開いた。ぎんたまんはギャグありバトルありの大道といえば大道のジャンルだが、最近みるみる人気を伸ばしている漫画である。俺もわりと毎週楽しみにしているのでAにジャンプについて語るときにそのタイトルを告げたのだ。

「その中でもこのぎんたまんはとても良かったです」とAはぎんたまんの扉絵を見据えながらにそう口を開く。


「主人公の台詞もグッとくるものがあるし、それによって周りのキャラが突き動かされるのにとても共感できます！時々挟まれるギャグもタイミングが絶妙だし、程よくシリアスなシーンを和ませたりしてお話としてもメリハリがあって！」


「最初から全部読みたくなっちゃいました！」と。Aは熱く語った。ここまで多弁なAは中々見られない。少し驚いてしまった。こんなに感想を述べられるほどに読んでくれたのだ。


「銀さんがジャンプを読み続けてしまうのが分かった気がします」

「そんなに面白がってくれんなら良かったよ」

「はい！来週も楽しみです！」


どうやら来週も買うつもりでいるようだ。Aの楽しみがひとつ増えて良かったなと俺は思った。


「そういや病室から出ても良くなったんだってな」

「はい！最近はとても体調が安定してて、歩き回れるようになったんです！」


Aはこの真っ白い病室にずっと閉じ籠もっていた。それを余儀なくされていた。彼女が少しでもここから抜け出すことが出来るようになったということは、俺にとっても嬉しいことだった。

苦しんでほしくない→←好きなもの

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す