【銀魂】君と共に生きる春 3【坂田銀時】

ほしーい ページ27

暫くの間俺の頭のもふもふを堪能してから、満足したのか少女、茉莉花は大人しくベッドに座り直して「いいなぁその髪の毛」なんてことを呟いた。俺からしたら皮肉にしか聞こえなかったが、茉莉花にとっては悪意なんて欠片もない言葉なのだろう。だが、この天パによって今まで散々苦しめられてきた俺としてはまったく笑えない。やれるものならやりたいくらいだ。その代わりお前のそのサラサラの髪を交換しろ。俺を天パという名の呪縛から解放してくれ。まぁそんなアホみたいなことを口に出来る訳もなく口を閉ざしていた。Aは遠慮もあったのか恐る恐る少しの間俺の頭を撫でて、茉莉花よりも先に椅子に座っていた。だが、まさか俺のこの憎き天パまでもがAを喜ばせるものになり得るとは思っていなかった。まさかの利点である。

茉莉花は「どうしたらそんな頭になれるの？」とまた悪意なき爆弾を投げ込んできて、俺は「前世でこういう頭になる呪いを受けたんだよ、きっと」なんて適当なことを返していた。子供を相手にそんなことで真剣に返答する必要はないだろう。


「私もその呪いほしーい」

「パワーワードだな」


ホントにやめとけ、俺と同じ道を歩もうとするんじゃない、そのままサラサラなストレートで生きていきなさい。そんなことを思っている俺を他所に、茉莉花は「パワーワードって何？」とAに質問しており、Aが「インパクトがすごい言葉のことだよ」と教えていた。子供は好奇心が旺盛だ。

やはり本を読み込んでいるだけあって言葉を知っているらしい。考える素振りすら見せずにさらっと簡潔に説明してのけていた。茉莉花は「へぇ〜」とひとつ頷いた。


「ねぇねぇ、それでさ、」


と、何がそれでさ、なのかは分からないが、子供は話していると話題がすぐに飛んでいくこともある。きっと何処からその話題が来たんだと思いたくなるようなことを言われるのだろう、そう予想した。すると。


「銀時って、Aお姉ちゃんの彼氏？」


これまたすごい爆弾が来た。純真で邪な感情なんて何一つとしてなくそんな質問をしてくるものだから、子供は怖い。突拍子もないことを言われるとは思っていたものの、思わぬ方向からの言葉に俺は言葉を詰まらせる。Aも隣で「へっ！？」なんて声を発している。


「かっ、彼氏…！？なんで！？」

「だって、銀時はAお姉ちゃんに会いに来たんでしょ？」


付き合ってるんじゃないの？と。付き合うことの意味もちゃんと理解していないだろうにそんな生意気なことを言う。そして、何故何気に銀時呼びなのだろう。

本当の本当に→←何の時間だ

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