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眼鏡のせい ページ3

「それもそうアルなぁ、私ばっかりA姉独り占めしてたら、銀ちゃんもそりゃ不服だったかもしれないネェ?」

「…お前ら何なのその感じ」


神楽がいやらしく右手を口元に持っていって歪みきった口を隠すようにしてクツクツと笑っている。新八はそんな神楽に「あんまりからかっちゃダメだよ神楽ちゃん」と注意しながら、俺に気を遣うような視線をチラリと送ってくる。何なんだこの状況は。なんだこの微妙な居心地の悪さは。まるで俺がこの空間の中で一番不利な立場に居るかのような感覚だ。いや、実際にそうなのだろう。今この場で、最も不利な状況下に居るのは俺だ。二人の表情からそれは容易く察することができる。自分達が優位なところに居ることを理解している顔だ。が、そんな空気にこの俺が怯むなんてことはない。俺は負けじと俺に視線を向けている二人に湿っぽい視線を送りつける。

まったく、このガキ共は一体俺に何を言いたいのだろう。余裕を持って俺は内心でやれやれと肩を竦めては溜め息をつく。そうして先程新八が淹れてきたお茶に口をつけた。ジャンプを読んでいる間に少し冷めていた。


「だってそういうことダロ、銀ちゃんはA姉を取られたくないから私を連れていくのを渋るネ」

「ゥゲッホォ…!!」


むせた。思い切りむせた。お茶が変な気管に入っていったりそれを吹き出してしまうことはなかったが、それにしたってむせた。容赦のないその指摘に動揺してしまったのだということは自分でも分かる。そして、その二人にも俺の動揺が伝わっているのだろうということも考えなくとも分かることだった。

息を整えながら、まだ息切れをしながら、俺は力なく神楽を睨み付ける。


「お前な……何訳分かんねェことを…」

「分かってんダロ自分で」

「…」


…勝ち誇ったような笑みに腹立たしさを覚えるのは仕方のないことだった。そして神楽からのその口撃に返す言葉が思い浮かばないのも。言葉を詰まらせ、俺はそのまま口を閉ざしてしまう。

…これもすべて新八が余計なことを言ったせいだ、と眼鏡のせいにしておくことにする。


神楽と新八を連れていくと、Aが喜ぶ。だがしかし、そう。神楽はAに引っ付くように喋っているので、俺が入る隙が中々ないのだ。そのため、新八の言う通り、ここ最近の俺とAの会話は確実に減っているのだ。


…別に、深い意味はないが、ないのだが、それが面白くないと思っている自分が居ることは確かなのだった。

言い負かされる→←確かにだ



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ここまで中々お話が進まなくてすみません!焦っている中そんな風に言って頂けてとても嬉しいです!これからキュンキュンを大量投下できるように頑張ります!!今後ともお楽しみ頂けたら幸いです!! (2018年11月24日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
- すごい面白いです。てか、キュンキュンします。最高です。更新頑張ってください! (2018年11月24日 21時) (レス) id: fcb91909ae (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃんいつもありがとう!沖田隊長、シリーズでもコメントありがとう!いつも励まされてます!ちょっとでも誰かの心に響くものがあればいいなぁと思いながら書いてるから、そうなら嬉しいな!しーちゃんも色々忙しいと思うけど、しーちゃんのペースで頑張ってね! (2018年10月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - 君春続編おめんとさんです! ピー姉の小説は一文一文が丁寧で本当に尊敬しとります! ピー姉のペースで更新頑張ってね! (2018年10月2日 20時) (レス) id: 09ad90d8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 続編に参りました!!少しずつになるとは思いますが精一杯お話を進めていくつもりですので、お楽しみ頂けたらなと思います!!頑張らせて頂きますのでよろしくお願いします!! (2018年10月1日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年10月1日 19時

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