【銀魂】君と共に生きる春 3【坂田銀時】

やれることしか ページ14

喜んでくれるだろうか。祝福してくれるだろうか。彼が少しでも良かったと思ってくれるなら、私も嬉しい。私は彼に、何もしてあげられないから。彼だけじゃなく、いつもお世話になっている鶴見さんにも、心配してくれる両親にも。病気のせいで色々なことを制限されて、中途半端に身体を動かすことも出来なくて、そんな私には、誰かに何かをしてあげることが。誰かに何かを与えてあげることが出来ない。それがいつも、悲しくて悔しくて、もどかしかった。私はいつも誰かに与えてもらってばかりで、色々なことを任せっぱなしで、そのことに対して申し訳なさを抱かずにはいられない。私は私の大切な人達に、何も出来ないのだと思うと、落ち込むし、無力な自分に涙が出てくる。私は一体何のために生きているのか、分からなくなる。

けれど、そう。そのことを鶴見さんに漏らしたことがあって。銀さんに出会う前。その時は確か、私の身体の調子も少し良くないときで、発作が頻繁に起こったりしていて、結構追い詰められていたときだった。そんな時に弱りきって「私は何かをしてもらうだけで、何も出来ない」と。「私は何のためにここに居たらいいんだろう」と。そう鶴見さんに呟いたのだ。両親の前では、とても言えそうにないことだった。そんなことを言ったら、傷付けてしまうことは分かりきっていた。

鶴見さんは私の目を見て、うん、とひとつ頷いて、そうして答えた。その顔に微かな笑みを称えて。その笑みはなんだか、闇に差した一筋の光のように見えた。


『人間なんて誰だって、自分にやれることしか出来ないものよ。健康な人であれ、病を患っている人であれ、それは同じ』

『自分にやれることをやれればそれで十分じゃない。高望みなんてしたら苦しいだけよ』

『貴女に出来ることは、今より少しでも元気になった姿を、見せてあげることじゃないかなって、私は思うんだけど、どうだろう』


彼女は私に最終的に問い掛けてきた。私はその言葉に、本当に救われたような気がして、その時は泣いてしまったように思える。泣きながら、何度も頷いていた。

今でも身の回りの人達に対して申し訳なさを抱いてはいるけれど。何か出来ないのかなと、無力を感じることもあるけれど。それでも、彼女の言葉は私の中にずっとあって、そんな私に『出来ることをやりなさい』と諭してくれている。私に出来ることは少しでも元気になって、その姿を大事な人に見せてあげること。


そんなものしかあげられないけれど、それで大切な人達が喜んでくれたなら、私はとてもとても幸せなのだ。

意味→←いい子にしててね

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