【銀魂】君と共に生きる春 3【坂田銀時】

会心の一撃 ページ1

銀時side


『銀ちゃーん、今日はA姉んとこ行くアルか？』

『銀ちゃん、A姉が夢の中に出てきてね、遊びに来てって言ってたヨ』

『ねぇ銀ちゃん！』


…Aの病室に新八と神楽を連れていってからと言うもの、相当楽しかったのか神楽はあれから毎日のように俺に面会に行こうとせがむようになった。朝飯の卵かけご飯を掻き込んでる時も、テレビで結野アナの天気予報を見ている時も、ジャンプを読んでいるときも昼寝をしている時も、何かとすぐに「今日は行かないアルか？」と期待をいっぱいに宿した目で俺を見据えてはそう言うのだ。Aに友達が出来て、連れていくと彼女は楽しそうに笑ってくれるから、それは嬉しいことなのだけれど。そうなのだけれども。

けれど、ひとつ些細な問題があるのだ。


「ねぇ銀ちゃん、今日は行くアルか？」

「…何処に？」

「しらばっくれんなヨ、A姉のお見舞いアル」


そろーりと目を逸らしながらなんとか神楽のもう聞き飽きた質問から逃れられないものかと思うが、やはりそれはうまくいかず、神楽は逃げられないように逃げ道を塞ぎに来る。俺はソイツに気付かれないくらいの溜め息を小さくついて、「どーしよーかねェ」と返す。

…二人をAに会わせたあの日から二週間ほどが経ったが、あれ以来、Aの病室に行くときには必ずと言っていいほど神楽がついてくる。何か用事がない限り新八も一緒に。


「ねぇねぇ行こうヨ！一昨日と昨日と行ってないし、そろそろ行く頃デショ？」

「…またお前来んの？」

「A姉に会いたいヨ」


と、神楽はいつもこうして頑なだ。コイツのことだ、Aが行くと振る舞ってくれる菓子とかが目当てなのだろうと思うだろう、ところがどっこい、神楽とAはやはり女同士ということもあるのだろうか、まるで姉妹のように仲がいいのだ。神楽も、どっかの宇宙海賊に属している兄貴しか居ないし、年上のAにそういう親しみを持っているのかもしれない。「A姉みたいなお姉ちゃんが欲しかったヨ」と言うほどだ。

神楽は渋る俺にムッとした顔をして、そうしてまた畳み掛けてくる。


「私が行ったらA姉も喜ぶアル！」

「ぐっ…」


会心の一撃だった。

そう、それなのだ。神楽は神楽で会いたがっているし、AはAで神楽のことを可愛がっているから、連れていくとそれはそれは喜ぶのだ。「神楽ちゃんみたいな妹が欲しかったよ」と言うほどに。もう姉妹でいいのではないかとすら思える。

確かにだ→

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