君は愛しき我が咎 ページ21
｢叶くん多分覚えてるっすよ｣
｢…………君たちは本当、何で脈絡も無く話しかけても趣旨を理解してもらえると思ってるのかな｣
｢そりゃAさんには心当たりしかないでしょうし｣
｢そんな殺生な……｣
｢それより隣来てくださいよ！ずっと働きっぱなしなんだから、ちょっとは休憩しないと。ほら｣
境内を掃除する私のホウキを奪い取り、ガクは私の手を引いて己の隣に座らせた。着込んでいるといえどその手は冷えきっていて関節は赤くなっている。吐く息は白いのに、寒くないなどと言い張っていつまでも私の側から離れない彼に根負けし、私は大人しくその手に従った。
｢Aさんもっと厚着しなきゃ。手ぇ冷たい｣
｢小狐もね｣
｢だから俺は寒くないっすから。今のAさんはただの人間なんだからもっと体調に気を使わないと。この間も＿＿｣
｢小狐も人間じゃない｣
｢……そーすっね。貴方がそう本気で思うなら｣
｢…………ごめん、冗談だよ｣
君は、私の罪そのものなんだから。
はァ、彼の息が吹きかけられて手に一瞬熱が当たる。……よくいつまでもつまらない事を覚えてるいられるものだ。これは、私が昔彼にしてあげたことそのままである。
｢………小狐、ここおいで｣
｢はぇ？｣
彼の頭を引き寄せて太ももに乗せる。彼がそんな感じなら、私ももういいやと思った。耳のように跳ねた髪の毛の形をなぞって、ポンポンと頭を撫でる。小狐は案外ベタに甘やかされるのが好きな事を、私は知っていた。
｢………大きくなったなァ、小狐｣
｢叶くんよりデカくなっだだろ？｣
｢ほんと、私の両手で十分くらいだったのに……｣
｢それは言い過ぎっすよ〜｣
下を向けば小狐と目が合う。小狐……いいや、ガクだ。私が与えられなかった名を彼に与えた存在がいて、それに私は従うべきなのだ。
｢Aさんはさ、とやさんの何処が好き？｣
全部っていう便利な答えを、彼は求めていない。
｢……トウヤはトウヤのまま、私とまた出会ってくれたところ、かなァ｣
ガクはやっとこの質問の答えに満足そうな顔をして、ポツリと呟いた。
｢………それ、叶くんにも教えてあげてくださいね｣
｢Aさんのクリスマス予定は？｣
｢……私には刀ピークリスマスがあるし……神社の娘に二度とその話持ち出さないでね｣
｢じゃあぼっち同士でコラボっすね！｣
｢………んふふ。賛成｣
変わり続けたこの世界で、変わらないのはお前の笑顔の愛おしさである。
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ぴた(プロフ) - 剣道部さん» コメントありがとうございます！出来るだけ更新できるよう頑張ります！ (2023年1月29日 9時) (
レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
剣道部 - のんびり更新待ってます ‼️ (2023年1月28日 16時) (レス) @page45 id: 92ba65462e (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - 剣道部さん» コメントと応援ありがとうございます🥰少しずつですがそちらの物語も出して行こうと思うので良ければ末永くお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2023年1月10日 18時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
剣道部 - ただの推し大好きおバカ良質夢小説だと思ってニコニコ読んでたら壮大な裏が隠されてそうでさらにニコニコしてしまいました超応援してます ; ; (2023年1月10日 0時) (レス) @page35 id: 92ba65462e (このIDを非表示/違反報告)
ぴた(プロフ) - 青月さん» ありがとうございます😭無知であったとしても素通りできるような事態ではありませんでした。解決出来たのは読者の皆様のおかげです。本当に、感謝でいっぱいです。 (2022年12月22日 16時) (レス) id: 2515d01abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴた
| 作成日時：2022年12月18日 15時
