２人の時間は交わらない【朔間零】【完】

昔の呼び名 ページ31

A)翠、ありがとう…ごめんね




朝早く翠の部屋に行けば、案の定優しい表情で夢の世界を満喫する彼がいた
ベットに頬杖ついてその寝顔を見つめた
いつも私のペースにいてくれる弟みたいな存在。髪にそっと触れてみる
…変わらないもの


変わったのは内面だけど、根っこは変わらない



A)翠…翠は離れないよね？…なんてわがままだね。私も翠も変わりだしたもんね


翠はち〜ちゃんたち流星隊に所属したことで「鬱だ」なんて発言が増えたけど、本気では嫌がっていない。だってち〜ちゃんは本気で嫌がってたら誘ったりしない
彼女がいたときデートめんどくさがっていたやつとは思えないよ、翠





A)”みーくん”焦ってるよ私。あのね、零君は交わらない時間で生きてきた人だから…交われない生き方を歩んできたから…分かってる。わかってるよ、初めて会ったあの日から
でもね、私零君には…零君だけにはっ…置いてかれる感覚を持ちたくなかったの





ギュッと掛布団を握りしめて顔を埋めた



高)それは本人に言うべきでしょ”A姉ちゃん”



A)…みーくん




いつのまに目が覚めていたのか、寝そべりながら私の頭を撫でる幼馴染




高)大丈夫だよ、それと…一人でなんとかしようって思わないで
もう俺だけじゃないよ、そばにいるのは。…一番は、俺だけど




A)…うん、ありがとう翠。さぁ！今日はち〜ちゃんが迎えに来るから早く着替えようか




高)え〜…





さっきまでの優しい表情はどこへ、翠はやだ、むり、うつの三拍子を使い布団をかぶった
そんな彼の頭辺りを撫でる






私にとっての一番も、しばらくは君だよ…みーくん

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