27.mg ページ27
ぼーっとしながら歩く姉ちゃんが危なっかしくて、何度も声をかけそうになった。
だけど、何て言ってあげれば良いのかが俺にはわからなくて。
公園のブランコに腰かけてゆらゆらと揺れるシルエットを眺めることしかできなくて。
今更俺が出ていったところで、姉ちゃんの感情が穏やかになることは無いだろうと判断した。
むしろ更に酷くしてしまうかもしれない。
今の俺は何もできない。
弱っているところにつけ込むなんて、絶対にできない。
だけどすすり泣く声が聞こえ始めると、さすがに放っておくのも違う気がしてきて。
だから俺は一人の男としてではなく、姉ちゃんの弟として声をかけてみる決心をした。
姉と弟としての会話以上のことは絶対に言わないと、自分自身に誓って。
「....姉ちゃん。」
急に肩を叩かれて驚いたのだろう、思い切り息を飲む音が聞こえた。
「俺だよ、蓮。こんなところで何してんの。」
「お、お前こそ....！もう門限間に合わねぇぞ、何してんだよ！！」
「それはお互い様だよ、もう数分で十九時になるんだから。」
「....」
「....泣いてたの？」
「泣いてねぇよ。」
「姉ちゃん、都合が悪くなると言葉遣い荒くなるよね。わかりやすいなぁ、ほんと。」
「....うるさい。」
俺も姉ちゃんの隣のブランコに腰かけた。
小さい頃は浮いていた足が、今では前に伸ばしても地面に届く。
「デート、つまらなかった？」
「....楽しかった。映画見て、ケーキ食べて。ボウリングは....ほとんど覚えてないけど。」
「楽しかったんだ。」
「うん....」
「だったらそれでいいんじゃねぇの。」
「良くないよ。」
「どうして？」
「....わからないけど。」
「わからないけど、良くはなかったんだ。」
「そういうことになるね。」
「好きな人が人生の内の一日....まぁ、八時間くらいか。人生の内の八時間を自分にくれた、それってなかなか凄いことだと思うんだけど。」
「たった八時間だ。」
「八時間も、だよ。」
「....何が言いたいの？」
「世の中にはそれすらも許されない奴だっているんだ。好きな人が遠すぎたり、近すぎたりしてさ。」
「ごめん、言ってる意味がわからない。」
「そういう奴もいるってことだよ。」
「ふーん....」
「そろそろ帰るぞ。父さんと母さん、心配してんだろ。」
「....そうだね。ごめんね、蓮まで怒られちゃうね。」
「さっきから二人共、スマホ鳴りっぱなしだもんな。」
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まなお(プロフ) - れいんさん» ありがとうございます！私も読ませて頂こうと思います。素能家、いいですよね！教えていただきありがとうございました！ (2020年6月4日 13時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 作品名は「家族ですの。」、作者様は「ミントアップルティー」さんです。 (2020年6月4日 11時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» 私も読んでみたいので、よろしければ作品タイトルや作者様のお名前を教えて頂けませんか？ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - れいんさん» そうなんですね、ご報告ありがとうございます！私と同じような趣味の方がいらっしゃるということですね、仲間が増えたみたいで嬉しいです！！仮に真似だとしても、こんな駄作を参考にしていただけたということで、認められたみたいで幸せです！ (2020年6月3日 22時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
れいん - 私はmmabの小説を読み漁っているのですが、このお話によく似た作品を見つけました。類似している作品の方が後に作成されていたので、真似ていたとしたらもう一つの方かなと思います。作者様があまり気にしていないなら大丈夫なのですが…一応報告させていただきました。 (2020年6月3日 20時) (レス) id: ae247e4732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年1月18日 1時
