【Ｒ１８】吉良とキラの恋愛条件と事実について二巻 (ページ10)

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彼の変化についてページ10

あの後、承太郎は寝てしまった。

私も当然の如く目をつぶった。今回も「愛の無い営み」だろうと思いながら。

次の日目覚めると、……承太郎がいた。何故か。

「………………ぇ？」

承太郎「ん……起きたか。シャワー浴びて来い」

訳が分からず風呂場に入り、承太郎が昨日ナカに出したものを掻き出して湯船に浸かって考えた。

いつも承太郎は私に薬を入れて犯した後は私が寝たのを見計らって消える。だから一人の朝が普通だと思っていた私には予想外な出来事な訳で……

有り得ない。昨日の優しさも、背中の温もりも。怖い……

怖い。

訳がわからないこと程怖い。乱暴にされてきた日常が、ゆるゆると優しさで崩されるという逆の恐怖。

例えば……いきなり熱湯に浸けられたのに、次に浸かっているのがぬるま湯なんて順応出来るはずが無いッ！！

そんな事を思いながら風呂から上がり、服を着て部屋に戻ると承太郎は朝食を食べていた。

向かい側には……私の朝食。

「…………………………」

承太郎「…何ボーッと突っ立ってる。食え」

「……………………あ、あぁ……」

承太郎は黙々と、食べ続ける。メニューはソーセージと目玉焼きにサラダ。

ソーセージを食べようとしたときに視線を感じ、チラリと目の前を見ると承太郎の手は一瞬止まっていた。そして、目線は私の口元に。

「やましい気がするんですけど……………あなたの考えてる事が。」

承太郎「すまねぇな……やましくて」

怒っている気配がない……？！ますますわからない。

承太郎「……じゃ、行ってくる。」

荷物を背負って外に出る彼を送る気は無かった。しかし、ドアの前まで連れて来られてしまった。

「………………」

承太郎「……キスは」

「は？」

承太郎「行ってらっしゃいのキス」

「……いってらっしゃいのきす……？」

承太郎「しねーのか」

じっとおねだりする様に見つめられる。目の色は遠い遠い南国の、淡い海の色だ。

「する訳なっ……………ふ、ンんッ！？ぐ、ぁぐ」

抱きしめられて強引に唇を貪られる。この時だけは深海の、どす黒い色が宿っていた。

ころん。

何かが口の中に入り、そのまま喉を通った。

「……ッ！？は、くすり……？」

承太郎「俺が帰って来るまで我慢してろ……じゃあな」

嗚呼、嫌だ……また実験の餌にされる。怖い、怖い、怖い……ッ！！

まただ。

昨日の甘い記憶が蘇る……ゾクゾクと、また身体が波打った。