白の世界2 ページ4
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あれから数ヶ月、骨折していた腕も頭の傷もほとんど回復していた。
病院生活だったのははじめの1ヶ月でそれからは国見家で暮らしていた。
過ごしてきた中で、私は国見家の長女で高校に通う学生。弟が1人、国見 英と言う名前の青年などいろいろな情報を手にいれた。
この世界は可笑しい。
上司であった中原幹部に電話をかけようとしても、使われてない。と何回も無機質な声が聞こえるだけ
ポートマフィアのビルも地図を買ってみてみたが全くない。
まるでポートマフィア自体の存在がないみたい…。
「____ねぇ、なに調べてんの?」
背後から声がして振り向くとドアにもたれ掛かり気怠い目で私を見る国見 英がいた。
『いえ、何にも調べてませんよ。
どうしたんですか、英さん。』
素早く地図やら本を閉じて棚にしまった。無気力な彼だが観察力は高く私の行動はすぐ怪しまれた。
「それ、どうにかならないの?
姉なのにさん付けに敬語はやめて。」
『分かった。出来るだけ努力する…ね。』
私は頑張って微笑むと英は短い返事をした。
「ご飯がもうすぐ出来るから」と付け加え部屋から消えていった。
今は春休みらしく1週間後に私は初の学生服を着て学校に登校しなければならないらしい。
勉強などしたことない私は病院生活でリハビリをする傍ら基礎的なところから勉強をしている。
英の言葉を思い出して急いで部屋から出てリビングに行くとホカホカのご飯に彩り豊かな野菜に揚げたての唐揚げ。
テーブルの向こうには母がお茶を注いでお盆に載せていた。
「あ、A。今丁度ご飯ができたのよ。さぁ座って…。」
『うん。』
座れば目の前には温かいご飯。
昔の私の食事とはかけ離れていて、毎日携帯食を食べていたあの頃が懐かしく思えてきた。
「ほら、早く食べないと冷めるよ姉ちゃん。」
『英…、うん…そうだね。』
心の底で今の生活に満足している自分がいた。
満更でもなさそうな顔が毎日鏡に映るようになって私はたるみ切っていたのかもしれない。
目の前には食事を通して話す相手がいて
誰かに狙われることもない生活。
心のどこかで「このままでいいんじゃないか?」と声が刺さったチクチクと痛いくらいに。
確かにいいかもしれない、罪人じゃなければ。
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