34話 ページ35
・
『___そっか、ユイちゃんはお花が好きなんだね。』
「うん、綺麗だから…」
少しでもユイちゃんを落ち着かせようと雑談をしていた。ユイちゃんの瞳は微かだが明るくなった。
どうやらユイちゃんは私より1ヵ月前からここにいるらしい。
売られる。という現実に直面しながらずっとあの笑顔だったユイちゃんは本当に強い子なんだろう。
「私がね、売られちゃえばきっと買った人は私をお金を稼ぐ道具に使うと思うの、絶対。
お姉さんはどんな異能力なの?」
一瞬、戸惑ってしまった。
私の異能力を言ってしまえば
ユイちゃんは怖がり、築いてきたこの関係が崩れてしまうかもしれない。
『…私の異能力はね、とっても酷い異能力なの。
きっとユイちゃんも怖がってしまうから…。』
「…怖くないよ。私、もう12歳なんだから。」
大丈夫だよ。と矢張り無邪気に笑って私をその瞳で見つめていた。
『…分かった。
私の異能力はね、影が人を飲み込む異能力なの。
小さい頃は、いろんな人から怯えられてね。
私はその異能力で沢山の人を飲み込んでしまったの、私の親も。』
ビクッとユイちゃん肩を揺らしたが、すぐに「そっか…」と呟いた。
一つの少し大きめの窓から月光が私達を見下ろしていた。
バタンッ___
いきなり奥の扉が蹴破られ、大型の男が1人部屋に入ってきた。
「随分と静かじゃねェか。
ハハッ、喜べお前ら朗報だ。
お前らの買い手が見つかった。明日には引き渡すようになったからな。」
大儲けしたぜ。とニヤニヤ笑いながら私達を見下した。
「嫌だ、嫌だ…止めてッ…お願いだからッ!!」
急に決まったこの判決に理解が追いつかないユイちゃんは狂ったように男に飛びついた。
「そう暴れるな、いい値で売ってやったんだから感謝しろよな。」
男は大きくゴツゴツした手をユイちゃんの頬に当てた。なお暴れ続けるユイちゃんを静止しようとしたがもう止められない。
ガブリ、と思いっきりユイちゃんは男の腕をかみ噛んだところから血が流れた。
「ッ…クソッ…痛てェじゃねぇか!!
この糞ガキ!!こうしてやる!」
噛まれてない方の腕から銃を取り出し引き金を引いた。
『_____危ない!!?』
_______バァァンッ。
404人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にろりん - 遅くなり申し訳ございません。改めて完結おめでとうございます!毎回楽しみに読ましてもらいました。新作も見ます!絶対!! (2017年5月4日 20時) (レス) id: 3b726ac26d (このIDを非表示/違反報告)
松木小春(プロフ) - 完結おめでとうございます!森さん落ち楽しみです! (2017年5月2日 23時) (レス) id: e4578cb5fe (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 完結おめでとうございます!新作楽しみにさせてもらってます!! (2017年5月2日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
初恋抹茶(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます!新作の方は森さん落ちにしようと思うのでよろしくお願いします! (2017年5月2日 20時) (レス) id: 8f432b42ce (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - お疲れ様です!!そして完結おめでとうございます!最後は納得の終わり方でした……泣きました(^^; 新作、お待ちしております(o^^o) (2017年5月2日 20時) (レス) id: b15e900c6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ