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32話 ページ33





まるで、冷たい壁に寝転がっているようだった。


この冷たさだ多分間違いない。




『…ここは…。』




目を開けて頭を上げるとガンガン痛い


薄暗い部屋の中だが、一つ窓があった。








「あ、…起きた…。」




部屋の奥で、鈴のように高く綺麗な声がした。



重い身体を持ち上げて奥の方の人影に目を凝らすと私よりも小さく可愛い女の子がいた。



『…えっと…、あなたは?』




この状況、襲われた人物像を考えこのか細い女の子は私を攫った人ではないと思った。



「私はユイ。


お姉さんも、いのーりょくしゃなの?」



矢張り、女の子の声は高かったが言葉は異質だった。



こんな小さな女の子が異能力者という言葉を知っているなんて…





『…うん、異能力者よ。



ユイちゃんも異能力者なの?』




「そう、私の異能力はね涙を流したら真珠?だったかな…綺麗な石が出るの。」




綺麗なんだよ。と無邪気に笑うユイちゃんは今の状況を分かっているのだろうか。



まだ幼いから分からないのかもしれない。




『ねぇ、ユイちゃん…私達はどうしてここに閉じ込められているのかユイちゃんは知ってる?』




優しく問うた筈だが、にこやかに笑っていたユイちゃんの顔が一瞬で曇った。暗く絶望した顔だ。





「____さらったヤツらは私達を、" 売ろう "としてるの。


異能力者だから。」






その言葉で



私は一瞬にして分かってしまった。







______このままではまた私は殺人鬼だと言うことを。




「怖いよッ…、私…売られちゃう…うわあああぁぁ!」




呆然とする私にしがみつき、顔をくしゃくしゃにしてユイちゃんは泣いていた






彼女はまるで







幼い日の





_____私のようだった。

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にろりん - 遅くなり申し訳ございません。改めて完結おめでとうございます!毎回楽しみに読ましてもらいました。新作も見ます!絶対!! (2017年5月4日 20時) (レス) id: 3b726ac26d (このIDを非表示/違反報告)
松木小春(プロフ) - 完結おめでとうございます!森さん落ち楽しみです! (2017年5月2日 23時) (レス) id: e4578cb5fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます!新作楽しみにさせてもらってます!! (2017年5月2日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
初恋抹茶(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます!新作の方は森さん落ちにしようと思うのでよろしくお願いします! (2017年5月2日 20時) (レス) id: 8f432b42ce (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - お疲れ様です!!そして完結おめでとうございます!最後は納得の終わり方でした……泣きました(^^; 新作、お待ちしております(o^^o) (2017年5月2日 20時) (レス) id: b15e900c6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:初恋抹茶 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年4月9日 15時

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