23話 ページ24
・
「落ち着いたかい?、Aちゃん。」
『はい、ありがとうございます。』
太宰さんの家に帰っても私は泣き続け太宰さんはずっと私を抱きしめたまま泣き止むまで背中をさすってくれた。
泣き止んでもこの体制は治らず、だけど恥ずかしいとは思わなかった。
暖かいからか、恋しいという感情が私を責めた。
恐る恐る、太宰さんの背中に手を回すと太宰さんの肩が少し揺れた。
「珍しいね、君が甘えてくるなんて。」
『…温もりが恋しい…って言ったら笑いますか…?』
太宰さんの顔を見るのが怖くて、俯いたままそっと言い返した。
本当に笑うんじゃないかと思うとうっすら涙が浮かんだ。
だけど、違った___。
ガタンッ____、と近くにあった机が揺れた。
押し倒されたわりには背中に痛みなど感じなかった。
ああ、布団だ。
「…ねぇ、そんな甘い声で言ってしまっては流石に私も我慢出来ないのだけど…、
余裕がない私は嫌いかい?」
私の髪を葬りながら太宰さんは湿った声がじんわりと耳の奥から溶けていった。
灯る電気が部屋に色を付けるのは二人の影だけで夜の空気で満ちていた。
『嫌いじゃないです。
___やっと太宰さんの余裕が崩せて少し、優越感がありますね。』
でも、そう言う私も余裕なんて最初から無くてこれじゃあお互い様だ。
シャツのボタンを開けられ空気が肌に触れた。
接吻の音と、熱く湿った吐息が聞こえ部屋に響いた。
ねぇ、太宰さん…
好きです、_____大好きです。
暖かくて、優しくて、意地悪な貴女が大好きです。
お義父さまのことで、心が乱れた私は
目の前の太宰さんの優しさを
倍以上に求めていた。
404人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にろりん - 遅くなり申し訳ございません。改めて完結おめでとうございます!毎回楽しみに読ましてもらいました。新作も見ます!絶対!! (2017年5月4日 20時) (レス) id: 3b726ac26d (このIDを非表示/違反報告)
松木小春(プロフ) - 完結おめでとうございます!森さん落ち楽しみです! (2017年5月2日 23時) (レス) id: e4578cb5fe (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 完結おめでとうございます!新作楽しみにさせてもらってます!! (2017年5月2日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
初恋抹茶(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます!新作の方は森さん落ちにしようと思うのでよろしくお願いします! (2017年5月2日 20時) (レス) id: 8f432b42ce (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - お疲れ様です!!そして完結おめでとうございます!最後は納得の終わり方でした……泣きました(^^; 新作、お待ちしております(o^^o) (2017年5月2日 20時) (レス) id: b15e900c6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ