111.変身 ページ11
「ねぇ。俺いらねぇってばー。」
のぶくんとAさんは、仲良さげに女子トークをしながら俺の前を歩いて行く。
なんだよ。もー。
「あ！ ココやココや！ さ、入ろ。」
なんかすっげぇおしゃれなんですけど。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。
お二階へどうぞ。」
「あ、ありがとうございまーす。」
「わぁー。素敵！」
「…………。」
のぶくんがこの短い間に連絡しておいてくれたらしく螺旋階段を上がり二階に通される。
半個室のようなその空間にはいくつもハンガーに服が掛けてある。
「こちらのサイズが羽生様にも
合わせやすいものかと思います。
ぜひご試着なさってみて下さい。」
「ええやんええやん！ どんどん着てみ？」
「わー！ 私も見たーい。」
「……好きにしてくれ。」
Aさんはあれこれと選んで俺にあてがう。
「これこれ！ こういうパンツいい！」
えー！？
チェックとか履いたことねぇよ。
「上は……これ！」
「パーカーなら持ってるよ？」
「サイジングが重要なんだってば。
んで、これを羽織る。」
ジャケット？
「はいはい。試着試着。」
Aさんが俺の背中をグイグイ押して
試着室に押し込む。
「せやけどさすがAちゃんやなぁ。
スタイリストの卵なだけあるなー。」
「……そ、そうですかー？
いや羽生さんのスタイルなら
なんでも着こなしちゃいますよー。」
ぷふっ。何そのヘタクソな演技。
そういう設定なの？
「このお店も良くお世話になってる
スタイリストさんに教えてもうてんで。
リーズナブルなのにおしゃれやろ？」
「ホント！ 勉強になります。」
着替えを終えてドアを開ける。
「……いい。すごく。ヤバイ。」
「ええやん！ めっちゃ似合うで。」
「えー。なんか不思議な感じ。」
結局その他にも上下2セットほど試着させられる。
「全部いい……。決められない。」
「全部買いぃな、ゆづ。着回したらええやん。」
「ですねですね！ そうしましょう羽生さん！」
それ俺が払うんだろ？ マジか……。
「そして最初のコーデを着て帰りましょ。」
「……好きにしてくれ。」
のぶくんとAさんは
ハイタッチで大喜びしている。
なんで俺、のぶくん誘ったんだろ。
ちょっと後悔……。
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菜紬(プロフ) - てごさん» コメントありがとうございます！いつも読んで下さっているなんて‥感激です(≧∀≦)書いているとどんどん口が悪くなるので（笑）心配でしたが、楽しんで頂けて嬉しいです♪ (2020年6月16日 22時) (
レス) id: a7d05f70f7 (このIDを非表示/違反報告)
てご(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております( ´∀`)口の悪いゆづ君も良い感じですね。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: 9f3d54ffe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜紬 | 作成日時：2020年5月22日 13時
