テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ22)

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No.71 ページ22

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あれから数日。林間合宿が始まったヒーロー科はとても大変らしくて、朝から晩までみっちり訓練なんだと轟くんがメールで教えてくれた。

夜にたった二、三通だけのメッセージ。それでも忙しくて疲れているはずなのに送ってくれるその優しさがとても嬉しくて、日中は何度も読み返した。

『よし、轟くんも個性伸ばす為に頑張ってるんだから、私も頑張らないと』

そう思ったある日の夜。私は大きく深呼吸をしてテレビのリモコンを取る。

そういえば今日は肝試しをするから連絡が遅くなりそうとメッセージの中に書いてあった。多分ただの肝試しではなさそうだけど。

苦笑いを浮かべながらテレビをつける。だけど私は持っていたリモコンを落としてしまった。それによって電池のフタは外れ、中の電池も飛び出してリモコンの役目を果たさなくなる。

「速報です。雄英高校のヒーロー科一年生が林間合宿中、ヴィランに襲撃されました」

『嘘、でしょ…？』

アナウンサーは無機質な声でニュースを読み上げていく。名前までは分からなかったけれど、重軽傷者や行方不明者が出ていて、テレビに映った森は炎に包まれていた。

『ねぇ、お願い…。私を、置いていかないで…！』

幼い頃、両親が私を恐れながら家から出て行く光景や、八百万やクラスメイトが離れて行く瞬間がフラッシュバックしていく。

それでも轟くんと出会えた。八百万ともやり直せて、A組にはいろんな友人が出来た。

やっと、前を向いて歩けると思ったのに、神様はまた私から何もかもを奪っていくの…？

A組の誰にも繋がらない携帯電話。轟くんにすら繋がらなくて、こんなことになるなら私からも連絡すると言えばよかった。

これでは、ヒーロー殺しの事件の時と同じじゃないか。