テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ23)

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No.72 ページ23

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私は何度同じ過ちを犯して、無気力な自分に嫌気がさすんだろう。

分かっていなかった。ヒーローを目指すということは、どれだけの危険が伴ってくるのかを。あの職業は、いつ明日が来なくなってもおかしくないのだ。

震える身体で何度も轟くんに電話を掛ける。それも、留守番へと繋がるまでずっと。でも轟くんの声がそこから聞こえないのは、きっと携帯を持っていないからだと信じたい。

(雄英またヴィランにやられたの？今年は多いわね…もう終わりかもしんないわね、オールマイトもいるのに見損なった。

でもこちらの仕事としては大儲かりだけど)

そんな中、アナウンサーの心の声が聞こえてしまった。それが引き金となってしまったのか、次々とテレビに映る人の心の声が聞こえてきて恐怖で耳を塞ぐ。

『いやっ…いや…！』

早くテレビを消せばいい。でもリモコンに電池をセットするにも、元の電源まで行くにも、身体が言うことを聞かないのだ。

気づけば私は意識を失い、リビングの床の上で深い闇の中へと落ちて行った。

その闇の中で、悲しい夢を見た気がする。起きた時にはもうその記憶が思い出せなかったけれど、その方が良い。

気づけば朝を迎えていて、テレビも真っ暗になっていた。そのおかげか身体の金縛りも解けていて、ぼうっとしていると携帯の着信音とインターホンが同時に鳴っているのが耳に入り込んでくる。

『もしもし…？』

「A！無事か！？」

相手も確認せずに電話に出れば、ずっと聞きたかった声がそこにあった。