テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ12)

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No.61 ページ12

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ゆっくりゆっくりと近づいて伸ばす手の先は、紅白色をした髪。ゴクリ、と息を呑んでも、さっきから大きく響く心臓の音がうるさくて仕方ない。

『い、いくよ…轟くん』

「あぁ」

先程、私が彼に頼んだこと。それは触れても個性が発動しないように、轟くんで練習させてほしいということだ。

轟くんなら過去をもう見てしまってるし、何より先日不可抗力だけれど見つめあった時、何も聞こえなかった。

というのは建前なところも本当はあるけれど、それでも試してみたい。心の声が聞こえなかったなら、触れても大丈夫なんじゃないかと。

綺麗な髪…触ったら気持ち良さそう。でも過去を視ないようにしなくちゃ…。そんなことを考えながら恐る恐る触れてみると、幼い轟くんの姿が視えた。

『轟くんって…お母さんっ子だったんだね』

「…個性出てるじゃねぇか…」

『…あっ、ごめん。つい』

バッと勢いよく手を離して、自分の手を見つめた。

サラサラだったな、なんて思ってしまったことは内緒。

「やっぱそう上手くはいかねぇか」

『んー多分、個性出ないようにって考え込みすぎたからかも』

「なら、不意打ちならいけるか」

『へ？』

「…何でもねぇ。まぁそう焦らなくてもいいだろ」

『ねぇ、なんか今ごまかしたよね？』

私がずっとドキドキしておかないといけない状況になるのではないかと、じっと轟くんを見つめるも、轟くんは知らん顔で「美味いな、これ」とケーキを頬張る。

もう、と少しだけ不機嫌になりつつ時計を見てみれば、そろそろ勉強会が終わってもいい時間になっていて。けれど轟くんが帰ってしまうことがとても悲しくて見て見ぬフリをした。