テレパシー少女は夢をみる2【轟焦凍】 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:35,277 hit

No.75 ページ26

.

あのヴィラン襲撃事件で轟くんは無事だったけれど、緑谷たちA組数名は入院をしているらしい。

轟くんにお見舞いに一緒に行かないかと誘われた私は頷いて、炎天下の中を歩く。心なしか足が重いのはきっと、これから現実を突きつけられそうだからだろう。

途中、爆豪くんとよくいるところを見かける赤髪男子、もとい切島くんと会い、一緒に緑谷の病室に行くことになった。

『ところで爆豪くんは？切島くんと仲良いと思ってたんだけど…』

「あー、えっと、」

「A、爆豪は…ヴィランに連れ去られたんだ」

『嘘っ…ごめん…でも、まさか』

突然知らされた悲報に足が止まる。気まずい空気を出す二人に、私以上に悔しい思いをしているのだと痛感した。でも、私には思うことがあった。

『…爆豪くん、大丈夫だと思う』

「え？」

『いや、何も知らない私が言えないんだけど…。

前に爆豪くんにテレパシー使っちゃった時、すごく怖い印象だったんだけど、その一番奥、爆豪くんの中心はオールマイトだった』

自身の胸を指して二人に伝えると、目を見開いた後強く頷いてくれる。

あんなに強い彼ならきっと、ヴィランになんか負けない。以前彼に感じた恐怖は削除しよう、なんてことを考えた。

その後、緑谷の病室に赴くと、彼はまだ眠りについていて。痛々しいその姿に胸が張り裂けそうになる。

思わず彼に手を伸ばして何があったのか知ろうとしていたけれど、寝ている緑谷に影響があってはいけないと引っ込めた。

『早く起きなよ…。起きたらいっぱいからかってやるんだから』

「A、帰ろう」

『うん。じゃあね、緑谷。お大事に』

その返事は聞けなかったけれど、次の日には目が覚めて動けるようになったと聞き、安心するのであった。