No.36 ページ36
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その日のお昼は轟くんと一緒は一緒だったものの、あまり会話が弾むことはなく、一人の帰り道はボーッとしていたせいで、シロのいる公園を通り過ぎかけていた。
『シロー、どこー？遊びに来たよー』
公園の中に入って声を掛けてみたけれど、いつもならすぐに出てくるシロが今日は出てこない。せっかく今日はおやつを持ってきたのに、とベンチに座って待つと、ガサガサと草の音が聞こえてきた。
「みゃあー！」
『あ、シロ。もうどこに行ってた……の…』
「にゃあ？」
『あ、れ。初めましての子だよね。こんにちは』
足元に近寄ってきたシロの隣にいる黒いメス猫。
いつもなら私に撫でてと甘えてくるくせに、その猫が隣にいるせいか堂々と座っている。まるで、俺は人間なんて怖くないぞ、なんならキミを守ってみせる！と言っているかのような。
そしてメス猫はシロに擦り寄って、頼りにしてるわ、と言っているみたいだった。
だけど、この時の私は明らかに可笑しかった。
『シロまで、私を一人にするんだ』
「みゃ？」
『あぁ、だから朝にたくさん鳴いて私に知らせようとしてたんだね』
普通は新しい猫とも出会えて、シロも私も嬉しいはずなのに、今は嫉妬という感情しか起きてこない。
そんな時、いつもは役目をそこまで果たさない携帯がメールを受信する。それはどこか嫌な予感しかしなくて。
案の定、メールを開けば目を疑いたくなるほどのモノがそこにあった。
『シロ？そこのガールフレンドをちゃんと守ってあげるんだよ。はい、このおやつお祝いね』
首を傾げる二匹の猫を置いて、自宅に向かいながら先程のメールに返信をした。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
