No.26 ページ26
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『じゃあ会えないなら一人で学校に行かないとなのか』
つまんないの、と小さく呟き、萎んだゼリー飲料をゴミ袋に入れると轟くんはサンドイッチを差し出してきた。最近何故か私の分まで余分に買ってくるのだ。
「そろそろ友達、一人くらい作ってもいいんじゃねぇか？」
『馬鹿言わないでよ。今更そんなこと…』
「感宮のクラスが難しいなら、俺のクラスはどうだ？そうだな…例えば八百万とか。アイツ頭良いし話合うんじゃねぇか？」
その言葉を聞いた途端、サンドイッチの袋を開けようとした手が止まる。何故、よりによってその人選なんだろうか。
「感宮？」
『轟くんには関係ない。それに友達なんて作る気ない』
「でも俺だってずっといられるわけじゃねぇし…」
『ならずっと一人で良い』
「あのな、」
どうにかして説得させようとする轟くんに、私の中で何かがブチッと切れる音がしたような気がする。
『私には轟くんがいればいいの！というか、轟くんだって前に友達は必要ないって言ってたじゃん。
急にどうしたの？おせっかいすぎ』
「悪ぃ…でもほっとけねぇんだ、お前のこと」
『私、別に子供じゃないよ？そんな友達一人や二人のことでヒーローのヒヨッコに助けられる覚えはない』
言いすぎた、すぐにそう思ったけれど、この気まずい空気を元に戻すことなんて出来なくて、それが余計に苛立たせる。
そして勢いで投げてしまったサンドイッチは、轟くんの胸に当たり地面へと転がり落ちていく。
「悪ぃ、踏み入りすぎた。これじゃ緑谷と同じだな」
苦笑いを浮かべる轟くんの見つめる先には、私が前に好きだと言っていた、たまごのサンドイッチが袋の中で哀しそうに倒れていた。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
