No.25 ページ25
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「ヒーロー科の轟くん！めっちゃかっこよくない？」
「体育祭、大活躍だったもんねー」
「氷と炎ってステキな個性よね！」
もうすぐ6月になろうとしているある日のこと。
最近、轟くんの名前を聞くことが多くなったような気がする。それも体育祭が終わってから。
私は特に運動に活かせるような個性ではないので、主に観戦がメインだったわけだけれど、確かに周りの女子が言う通り、彼の派手な個性はすごいと思った。
『え、じゃあこれから会えないってこと？』
「あぁ、悪ぃ。職場体験があるから学校には来ねぇんだ」
『そう…』
いつもの屋上で昼食を食べていると、職場体験の報告をされ、ヒーロー科は大変だなと他人事のように感じた。
『どこに行くの？』
「エンデヴァー事務所。俺の親父のとこだ」
『エン、デ…？よく分かんないけど轟くんのお父さんヒーローだったんだ』
ふーん、といつものゼリー飲料を吸うと、轟くんは目をパチクリとさせて戸惑いを見せる。そんな反応に首を傾げると、No.2ヒーローを知らないのかと驚かれた。
『だから言ったでしょ？ヒーローは興味ない。っていうか、私テレビほとんど見ないから世間のニュースなんて何も知らないの』
テレビなんて、小さな箱の中にたくさんの人が映る私にとっては凶器のようなもの。いくら機械越しだと言えど、心の声は聞こえてしまうのだ。
見るとしても、人が映らない動物番組のみ。あれだけは録画をしてまで見ている。
「そうか…」
『にしても轟くん、ちょっと雰囲気変わった？なんか前に進んだみたいな…』
「感宮にそう見えるなら、それで良い」
『うん？』
よく分からなかったが、微笑む轟くんを見てまぁいっかと完結させる。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
