検索窓
今日:6 hit、昨日:29 hit、合計:946 hit

64話(無惨討伐後) ページ16

義勇さんとわたしは桜並木の道を歩いている。

わたしが桜の花びらを拾っていると、義勇さんは桜に夢中なのか先に行ってしまう。

急いで追いかける。


桜を見る義勇さんの目はとてもきらきらしていて、綺麗だった。

その儚い表情に、わたしはどんな綺麗な花よりも美しいと感じた。

生きる希望に満ち溢れているようだが、すぐにでも散ってしまうようで、慌てて手を掴む。


「どうした?」

『あ、いえ。…義勇さんがどこかに行ってしまうような感じがして、』

「そうか。」

なにか考えているようだ。

「A、俺はお前を良き道へと導くことができたのだろうか。無事に育てられただろうか。」

『もちろんです。義勇さんと過ごす日々はわたしにとって、とっても大切なものになっています。』

「そうか。」

少しの沈黙が流れる。
桜は風によって多くの花びらを舞いらせている。

「桜の花言葉に"わたしを忘れないで"というものがある。」

確か、どこか違う国での花言葉だっただろうか。
そして義勇さんは、桜を映していた目をこちらに向けた。

「こんなこと言うべきではないかもしれないが、桜が咲いている短い時間の間だけでいい、桜を見て、俺を思い出して欲しい。」

意外だった。
義勇さんは意地でも忘れて欲しいと言うと思っていた。
義勇さんの本音が聞けたようで、なんだか嬉しい。

わたしは笑って言う。

『365日、一瞬でも忘れるわけないじゃないですか。』

「そうか。ありがとう。」



義勇さんは、喜んでいるような、悲しんでいるような、そんな表情をしていた。

65話(キメツ学園)→←63話(鬼殺隊時代)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2022年3月13日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。