【文スト】激甘と鎖骨が詰まった文スト【短編集】

鼠の一目惚れ【F・D】 ページ33

存在理由【レゾンデートル】様リクありがとうございます！

遅くなってすみません……！

文マヨのドストさん滅茶苦茶強いんですが…。


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私、此処(拠点)に来て数ヵ月経ちましたが未だに、其処らをうろちょろする鼠に慣れません。
あと五月蝿い(声の声量も騒音も)方々。

それに……


「おはようございますAさん。昨晩は如何でしたか？」


ニコニコと、取り方によっては気味の悪いと思われる方も多いだろう笑顔で此方に話し掛けてきた男。
彼の名はフョードル・ドストエフスキー。
通称ドス君だ。
否、まぁ道化師さんがそう云ってたのを真似しているだけなのだが。
瞳は紫水晶の様に綺麗なのだが、何処か濁って何を考えているかが判らない。


『…如何も何も、貴方の思う通りに弄ばれて悔しいですが？』


実はこの前、何か路上でナンパに会ったんですよ。
外国人で、何か誠実な紳士って感じの雰囲気をかもちだした人だった。
そしたら彼、「一目惚れをしました。」とか何とか云って私を連れ去ったんですよ。
誘拐ですよ、拉致ですよ。
警察とか動いてんのかな……。


「そうですね…。然し、貴女もよく呑んで下さったものです。
　ゴーゴリさんといい勝負してましたよ。」


あの道化師さん五月蝿かったな……。
平常運転手であれと同じくらいは笑止もんだわ。
然し、彼は余り呑んでいなかった様子だ。
もしかして弱いのだろうか。
まぁか弱そうな見た目してるもんね。


「…今失礼なこと考えましたよね。」

『否、全く。』


しらをきる。
意外と彼は勘でも鋭いのだろうか。
此方をじっと見据えている。

すると途端、私の頬に手が伸びてきた。
そして私の目に被せ、視界を奪った。


『な、何するんですかっ＿＿？！』

「否、ぼくに嘘を吐いたお仕置きというものです。」


訳が判らない。
そう云おうとした時、唇と唇が重なった。
私の口内に直ぐ様侵入しては、優しく、何処か何も掴めない感じで、探るように乱していく。


「んっ……残念ですが、ぼくが貴女を此処に連れてきた時点で貴女はこの鼠(ぼく)から逃げられないんですよ。」


ミステリアスな彼の深い瞳。
鼠は案外しぶとい生き物で。
一度捕まえた獲物は逃がさない。
私は彼に、永遠の牢屋に入れられたようです。

忠実な君なら【中島敦】→←嫌いの強さ【太宰治】

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