あなたに興味なんて…ない、 (ページ45)

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45~MS~ ページ45

MSside

入院から2週間を経過しようとしていた頃。
2日間他院の外来診療へ出張のため病院を空け、
そのまま夏休みという名の貴重な4連休を満喫し、遅出で昼からの出勤。
いつも通り、担当患者のカルテを確認し、最後にジミンのカルテを確認したところ、
発熱により、治療に遅延が出ていることがわかった。

それを見た瞬間、なにか心に靄がかかったような感覚を覚えた。
医師カルテの確認の後、看護カルテを確認を確認したところ、
案の定、本来なら休みのはずの日のカルテにAの名前でカルテが作成されていた。

午後の回診を終え、すぐに8階に向かったが、Aの姿はどこにもない。
扉を開けることはしないが、病室に人がいる気配も感じない。
心の中にどんどんと暗雲が立ち込めてくる。

急いで職員スペースに向かい、Aを探す。
食堂を通り抜け、更衣室の方へ向かっている途中。
洗濯室にやっとその姿を見つけた。
その姿にほっと息を吐く。

「なんでうちに帰れてないんだろうね。」

Aは完全に疲れ切った背中で、洗濯機を操作しながら独り言を漏らした。
やはり、家に帰れていないのか。

『誰と喋ってるだ？』

その背中に声をかけると、一瞬ビック！と肩を震わせたが、
すぐに満面の笑みで俺を振り返った。

ああ、いつもの笑顔だ。

その笑顔に思わず安堵を覚えた。

しかし、あの5年前の記憶のせいか、心の靄は晴れない。

『回診も終わったし、もうそろそろ時間だから行こうかなって思ってたら、ちょうどAが見えたから。』

何気ないふりをして声をかけた。
少しでもこの靄を晴らすために、Aに問題がないことを確認したかった。

「ってか、A当直今週当たってないだろ？なんで洗濯してるんだ？」

理由は聞かずともわかっている。
それでも、少しでもA本音で話を聞きたかった。

もう二度とAをあんな目に合わせないためにも。
俺がAを守らなければいけない。