あなたに興味なんて…ない、 (ページ46)

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46~MS~ ページ46

MSside

返ってきた答えは思っていた以上のものだった。

ジミンが発熱したことにより、自宅に帰れていなかっただけなら、
休むように言い聞かせて終われたかもしれない。

ところが、
ずっと態度が冷たかったやつが突然Aをヌナと呼ぶようになったとか、
自分のそばから離れるなだだとか、
そして一番の問題は‥‥…

「キスされたんです……。」

『は？』

Aは少し気まずそうに、困った顔でそう言ったが、
耳を疑う言葉に、それ以外の返答は出てこなかった。

一塊のアイドルが、たまたま入院した病院で担当になった看護師にキス？
何を考えているのか、ただの冷やかしのつもりでやったとでもいうのであればただではおかない。

『お前、寝ぼけてるんじゃないのか？働きすぎで、頭おかしくなったんだろ』

なんとか、何も気にしていないかのように、冗談であれという願いも込めつつそう答えた。

「もう！寝ぼけてなんかいません！ホントなんですから！」

Aは頬を膨らませ拗ねたように専用エレベーターを操作しながら後ろに立った俺を振り返る。
こんな顔まであの男に見せてるんじゃないだろうな。

普段の仕事をこなす姿だけでは、大人びた印象の強いAだが、
こうやってたまに見せる子供っぽいところは昔から男を騒つかせていた。
当の本人は全くの無自覚だったものだから、俺がずっと周りから必死に隠してきたわけだが、
今はそうも行かない………。

『まあ、自己管理を怠ったお前が悪いな。寝ぼけてそんな夢を見る程度には』

少し小馬鹿にするような笑顔、ができていると思う。
そう言って、Aに対して答えながら自分を落ち着かせていく。

そして、エレベーターが最上階への到着を告げた。

「ソンベっ！真面目に聞いてくださいよ！」

並んでエレベーターを降りると、病室の前にはジミンがいた。
ちょうどリハが終わって戻ってきたところだったのだろう。
Aはその存在に気付いていない。

「ちゃんと聞いてるよ。だから言っているだろ？お前が悪いんだって、まあ俺はそんなこと許すつもり無いけどな。」

そう、これ以上Aに何かするのは許さない。

「なんでソンベが許さないですか。更にわけわからないですよ。」

Aは本当に意味がわからないと言いたげな表情で、俺を見上げる。
そんな様子を見ていたジミンが、視界の隅で明らかに不機嫌そうな顔をするのが見えた。