あなたに興味なんて…ない、 (ページ34)

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私がソンベと初めて出会ったのは、今から９年前のこと。

同じ大学の医学科と看護学科で、基本的に同じ講義棟を使っていた。

ある日、いつものようにヨナと講義棟に向かって歩いている途中、前から歩いてきた上級生の塊の1人にぶつかってしまい、その衝撃で手に持っていた本や教科書を落としてしまった。

「あっ、すみません！」

その相手も同じように荷物を落としてしまっていて、自分の荷物と私の荷物をまとめて拾ってくれた。

『こちらこそすみませんでした！ありがとうございます。』

その相手こそがソンベだった。

本来なら、そのまま二度と関わることもなかったと思う。

でも、それから講義棟に入って始業まで時間があったので本を読もうとした時の事だった。

『これ、私のじゃない。』

「え？」

本の題名はあっている。

“Twilight”

私が昔から何度も読んできたこの本はずいぶんと年季が入っている。
たしかにこの本も同じぐらい、いやそれ以上に年季が入っているし、何よりいつも本を読むときに使っているヒノキの栞が入っていなかった。

「もしかすると、さっきの人と入れ違えたんじゃない？」

ヨナは信じられないと言いたげな表情をしつつもそう言ってきた。
この作品を読んでいる人に今まで出会ったことがないから、私も半信半疑の状態だった。
栞をどっかで落としてきてしまっただけなのかとも考えた。

『どこの学部の人だったんだろう....。』

「さあ、でもこの講義棟から出てきたから医学科か看護学科の上級生であるのは確かよね。」

そのタイミングで教授が入ってきたので、その会話はその会話は一旦打ち切りとなった。