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「ごめんね……」
聞こえるか聞こえない声で、謝るのももう慣れたこと
マスクを顎の位置まで下げて、少しだけ息を整えている樹
朝から降っていた雪は、まだ降り続いている
港につき、島へ帰る
繋がれた手は、解かれることなく家までの長い距離ずっと繋いでいた
「はい、到着〜。また月曜日な」
家に着くと、繋がれていた手は解かれる
笑顔で笑う樹につられて、私も少しだけ微笑む
「バイバイ」
小さく手を振ると、樹も振り返してくれる
案外楽しい
樹に背を向けてドアを開けると、それと同時に歩き出す樹
樹が家に入るのを見てから、ドアの鍵を閉める
階段を登って、部屋へ入る
制服を脱いで私服に着替える
椅子に鞄を放り投げて、ベッドにダイブする
「癒夢〜、ちょっと下に来て〜」
お母さんの声が聞こえる
面倒くさいと思いながらも、ドアを開けてリビングへと移動する
「癒夢、お願い！買ってきて？」
お母さんから頼まれてるのは、おつかい
お母さんが行きたくない理由は、寒いからというものらしい
私だって、寒いから外へ出たくない
お姉ちゃんが行けばいいじゃん、と思ってお姉ちゃんの方を見ると知らん顔をしてスマホをいじっている
またか……なんて思いながら、お金を受け取る
「行ってきます」
私服から、外出用の服へと着替えると荷物を持って家を出る
夜も遅い時間
周りは真っ暗で、流石、島！っていう感じだ
「寒いな……」
なんて思いながら、いつも樹とあるく道を早歩きで進む
港に着くと、運がよく船が止まっていた
船に乗って指定席へとすわる
ユラユラ揺れて都会の方へと進んでいく
都会に着くと、人通りが多くなる
田舎っぽい自分たちが住んでいる島は人通りが少ない
「えっと…………」
お母さんに言われたものをとにかくカゴに詰めていく
レジへと通って、ビニール袋に並べていく
港へまた戻る
時間は、9時
ここの港から、家の近くの港まで約1時間はかかる
最後の船に間に合うように、走って港へ行く
「はぁ、…はあっ……間に合った…………」
走って走って、船に間に合う
行き先を確認せずに船に乗ってしまった
これがいけなかった
行き先を確認していたら、こんなことにはならなかったのかもしれない
「ありがとうございました」
船長さんがお礼を言う
切符を渡して船から降りる
雪景色が、目の前に広がる
「綺麗……」
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作者名：wwssseee | 作成日時：2019年6月3日 22時
