SNOW MAGIC（緑） (ページ2)

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SNOW MAGIC ページ2

小学1年生

頭が良くて、運動もそこそこできる彼のことが好きになった
クシャって笑う笑顔が好きだった

運命と言っていいのかはわからないが、

9年間彼とクラスが離れる……なんて言うことは無かった
つまり、彼と私は9年間ずっと同じクラスだったわけ

幸い中の不幸というものだろうか

この想いは、一切消えることなく片思いして''13年目''を迎えた
だが、顔をはっきりと覚えてはいない

「寒っ…………」

家を出ると、元々の自分の体温が一気に下がるのがわかる
息を吐くと白く天に昇る

「癒夢！雪だよ！雪！」

なんて何故か、テンションが高い幼馴染の樹

港までの距離を手を繋いで歩く
小さい頃からのルーティーンみたいなもの

大人になっても、ルーティーンが急になくなるわけがない

「行ってらっしゃい」

樹に、見送られて先に島を出る

これまた、ギューって抱き合うのもルーティーンだ
はたから見たら、ただのカップルにしか見えないだろう

「うん……行ってきます。樹も、行ってらっしゃい」

お互いに言い合う

身長が案外高い樹の腕の中に私はすっぽりと埋まる
いや、樹が高いんじゃなくて私が低いだけなのかもしれない

しばらくすると船が動きだして、都会の方へと進んでいく

大学に着くと、つまらない時間が始まる
なんとなく耳を傾けてノートをとる
右から左へと会話は流れていくのだから、聞いていないって言う方が正しいのかもしれない

「ふぅ……」

大学が終わると、いつものカフェで樹を待つ

本当は、樹の迎えなんか要らない

でもそれが許されないのは、母のせいだ
心配性な母、お姉ちゃんはそんな事なさそうだけど

ミルクティーをいつものように飲みながら、本を読む

案外この時間が好きだったりする
待つのは苦ではない

「お待たせ。ごめんな、遅くなった」

樹の仕事上決まった時間に、カフェに来るのは難しい

それなのに毎回ちゃんと謝ってくれる

そんな樹が、なんだかんだ言って好きだったりもする

「いいよ、あんまり待ってないから」

ミルクティーの会計は、毎回毎回樹がしてくれる

たったの、149円
さすがに払える

そんなにお金に飢えてる訳でもないし
でも、樹はとことん優しい

「行こっか？」

そう言って、差し出される左手にそっと右手を重ねる

キュっと握られるその左手は、冷えていた

少しだけ肩が上がっているのを見て、申し訳ない気持ちになる