見えるよ ページ33
「君も、僕と同じように生きても死んでも変わらないと言った。だけど僕は、君がそんなことを言ったからこそ、あの炎の中に置き去りにできるわけがなかったんだ。理由はよく分からないけど、ただ君に生きて欲しいと思った。」
後ろから見る彼の肩が
心なしか震えているような気がする。
その拳にぎゅっと力を込めるあなたの気持ちを
知りたいと思った。
「僕と同じ痛みを持った君が、いざ死を目の前にしている現状を僕はどうにか変えたいと…変えなきゃいけないと思った。そしたら自然と“生きて、必ず僕に会いに来て”という約束が口から出てきたんだ。その時僕に初めて、君を待つという、君という生きる理由ができたんだ。」
彼が、振り返ってゆっくりとこちらに体を向ける。
あなたの眼差しが、私の目に真っ直ぐ入ってきて
解り合ったとか、
一つになったとか、
そういうのよりもっと強くて
もっと深い架け橋が
二人の間に繋がったような気がした。
「あれから君は、ずっと僕の生きる理由だった。僕を生かしたのは君だ。」
目の前に見える彼の目が、潤んでいる。
勿論__________それは私も、同じこと。
「あれからずっと、君のことを待っていたんだ。君が本当の意味で、僕を見つけてくれる時を…ずっと。」
そしてその目から
宝石みたいに澄んだ大粒の涙が
夕陽の光を浴びながらこぼれ落ちて、地面にシミを作る。
「泣か…ないで。」
私の目には、
あなたの涙もちゃんとハッキリ映っていた。
今まで見たことのないくらい切ないあなたの表情も
細かい肩の震えも
まっすぐなその眼差しも
全部、見える。
「え…？」
だから、今度はちゃんと
あなたの涙を拭うことができるよ。
「泣かないでよ。野坂くん。」
腕を伸ばして、彼の頰に手を添えて涙を拭う。
野坂くんがあの時、私にしてくれたのと同じように。
「目が…見えるの？」
「見える。あなたが、ちゃんと見えるよ。
あなたのことを思い出したら、世界が変わったんだ。」
その言葉に、彼は何も返さなかった。
ただ、さっきまでの切ない表情をより一層切なくして
目を細めながら、柔らかく微笑んだ。
お互いの眼差しに吸い込まれるように
どちらからともなく、距離を縮める。
繋いだ両手と
コツンとあたったおでこがあたたかかった。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
