零 昔話 ページ1
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ひとつ昔話をしよう。
あるところに、それは仲の良い家族がおりました。
その家は決して裕福ではありませんでしたが、優しい両親と兄と下の子と四人で幸せに暮らしていました。
兄は頭がよく、剣術に長けていて、下の子は人望があるものの少々喧嘩っ早いところがありました。
平穏な暮らしがいつまでも続くものだと皆が思っていました。
しかし、そんな暮らしも長くは続かなかった。
穏やかな暮らしを地獄に変えたのはまたしても゛鬼゛でした。
ーーーーー
担当地区で鬼を狩り、日の出を迎えたある日のこと。
任務を完遂させたことを報せるために鴉を呼んだが、己が言伝てを頼むより早く鴉が声を上げた。
「伝令! 伝令! 不死川実弥ィ 至急南東ノ山ニ向カエェ!」
「何だァ? 鬼でも出たってのか」
「謎ノ子供ガ隊士カラ奪ッタ刀デ鬼ヲ討伐中ゥ! 素性不明! 素性不明!」
「鬼狩りのガキだァ? バカも休み休み言え」
「既ニ拾ノ鬼ヲ討伐済ミィ! 瑠璃色ノ瞳ノ子供! 即刻連レ帰レ! 連レ帰レ!」
「瑠璃色の瞳だとォ? …テメェ、本当に見たのか」
瑠璃色の瞳などそう珍しいものでもないが、確かめてみなければわからない。
嫌な予感が当たらなければいいが。
呼吸を駆使して山を駆け上がる。
そこで見たのは異様な光景だった。
鬼が人間に頭を垂れて許しを請うていた。
だが、目の前の人間に慈悲などなく、容赦なく鬼の頚が斬り落とされた。
鬼に慈悲など必要ないが、これではどちらが鬼かわかるまい。
鬼の返り血を浴びたそいつはゆっくりとした動作でこちらを向いた。
その顔は幼い日に見たものと然程変わっていなかったが、当時の面影はなかった。
人生、思い通りにいくことなどありはしない。
だが、時の流れとはあまりに残酷だ。
「……何もテメェまで来ることねェだろうが」
空を見上げ、目を細める。
今は亡き、旧友を哀れに思った。
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S,JSB,K(プロフ) - K.yさん» コメントありがとうございます。今回は変更したい箇所が幾つもあったので作り直させていただきました。これからも更新しますので見ていただけると嬉しいです (2019年10月25日 3時) (
レス) id: 192ee57338 (このIDを非表示/違反報告)
K.y - 前回読ませていただいたのですが、また書いていただけて嬉しいです。更新楽しみにしてます!! (2019年10月22日 5時) (レス) id: 19d59073e5 (このIDを非表示/違反報告)
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