The invisible story 3 (ページ43)

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第136話ページ43

『…』

ヴィル「…どうしたのよ、本当に

何かあるなら言いなさいって」

『…いや、何でもないんです

個人の問題なので…』

ヴィル「…」

帰り道も考え事ばっかりしてついだんまりしてしまい、先輩方に心配をかけてしまってる

しっかりしないとな、という思考が働く

しっかりしないと、というのは二重の意味を含む

もし仮にあの人達が僕を悪事に巻き込もうとしているのなら、それを回避できるだけの判断力を抱き続けていないといけない、という意味が一つ

もう一つは先輩に心配かける事がないようにもっと自分を上手く隠してあげないとなという意味が一つ

同じしっかりしないと、だけど意味合いも方向性も違う

そんな器用に色々ができる程僕も良く出来ていない

基本表情筋を動かさないで「何考えてるか分からない」って言われるタイプの人間だし

いや、僕も皆が何考えてるかなんて分からないよ？

『…ッ…！！』

ふと寮に着いた頃に人影が見える

2つの大きな影だ

その2つの影は明らかに僕を見ている

そして僕を待っていたかのように僕を見つめて笑っている

何でこんなタイムリーな時にこの2人はここへ来てしまうのだろう

ジェイド「今晩は、Aさん」

フロイド「おかえりぃ、待ってたよ」

『…ッ…！！』

ルーク「おや、ムシュー・計画犯にムシュー・愉快犯ではないか

こんな夜遅くにどうしたんだい？」

ジェイド「えぇ、実はAさんに御用件がございまして…

Aさんが本日演劇の公演をされているとフロイドから伺ったので、お帰りになるまでお待ちしていたんですよ」

ジェイド先輩はニコニコ笑ってルーク先輩にそう言っている

形式的で、物腰柔らかく、まるで執事が話しているかのように

ルーク「おや、そうだったんだね

お待たせしてすまないよ」

ヴィル「…？この子に何の用？」

ジェイド「いえ、少し彼個人に話があるので…

できればAさんをオクタヴィネル寮へお連れしてゆっくりお話させていただきたいのですが」

『…ッ…！！』

何でこの人平気でこういう事言えるかな

これでは僕に何か過失があると思われかねないじゃん

僕が一体何をした？

何のためにここへ来たんだ？

ヴィル「…？アンタ、一体何してるの？」

案の定ヴィル先輩は僕を訝しむような目で見てそう言って、僕はどうこの後切り抜けようと味方のいないステージで震えながら防衛本能を働かせ始めていた