The invisible story 3 (ページ32)

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第125話ページ32

もし仮にこの物語に語り部が存在するとすれば、僕は一つ問いたい事がある

何故僕は「タイミング」に恵まれているのか

どうして僕は「片鱗」だけを掴む事はできるのにいつまでも当事者を回避する事はできるのか

きっと僕は無自覚に自分を狙う悪意達から身を守る事に成功していたのだろう

しかしそれでは困る相手がいたから目をつけられて狙われてしまったというだけで

フロイド「周りの奴らすげーA君の事心配してるねぇ

ねぇ、A君はお友達守ったげたい？」

『…ッ…何を…？』

フロイド「何となく聞いてみただけだよぉ

そんなに怯えなくてもいーじゃん

俺、A君が嫌がる事はしねーし」

『…ッ…』

たわいない会話のつもりでそう言ってるのか、あるいは悪意がこの中に含まれているかが分からなくて僕は恐怖する

しかしこの日の放課後に起きた事件で、この発言の意味を僕は後に知る事になる

運命に恵まれていると言えばそれまでだろう

しかし何も知らない僕にしてみれば何が起きてるのか分からない恐怖だけが残るのだ

フロイド「俺将来A君の伴侶になるとしたらぁ、A君の事囲っちゃいたいんだよねぇ

本当はね、A君は俺だけのA君でいてくれれば良いのになって思う」

『…ッ…！！』

フロイド「でも俺A君の事好きだしさ、A君の不幸は望んでないわけ

だからA君が自分で俺選んでくれれば良いのにって思う」

『…』

フロイド先輩は至って優しくそう言っている

悪意なんてないよと僕を誘導するように

それが相手の戦略だと知らぬまま僕は流されていく

そして気が付かぬうちに僕は食われているのだ

フロイド「…ねぇA君、俺の事自分で選んで

それでね、周りにも俺とA君の交際ちゃんと言ってさ、俺らの邪魔しないでって伝えて？」

フロイド先輩は至って優しく、そして僕を誘導するようにそう囁きかけていた

それが果たして肉食魚の囁きと知れば、僕はもう少し対応を変えていたのであろうか－－－－？