The invisible story 2 (ページ37)

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第81話ページ37

アズールside

えぇ、流石に他人の裸を不躾に暴くなど良識に欠けているというべきでしょう

ましてや関係がまだしっかり成り立ってもいないというのに

未来が約束されているからと言って、今がなんでも許される訳ではないと僕自身は思っています

だからあくまで彼を慮るつもりで、ジェイドの不躾な真似を叱る意味合いも込めて先程はああやって注意しました

この2人は正直すごいですね

普通に相手に手を出してやるんですから

僕はなるべく手を汚さないように色々やる方ですので

いえ、それはともかくとします

ジェイドは再びシャツを戻して差し上げているところで、何かまた新たに発見したようです

ジェイド「…フロイド」

フロイド「今度は何？」

ジェイドは彼の制服のポケットに手を突っ込んで、そこからマジカルペンではない何かを取り出します

流石に色々やりすぎだと思う反面で、それを見ればジェイドの手に握られているのはカッターナイフです

何でそんな物騒な物を？

ジェイド「…血が付着していますね」

フロイド「えっ…誰かやってるって事？」

ジェイド「…いえ、おそらく…」

そう言うとジェイドは今度は彼の制服を腕まくりしてシャツのボタンを取り外します

僕も何となく何が起きるか予想はついていました

そして本当に発見したのです

ジェイド「…」

フロイド「…腕、傷だらけじゃん

何があったの？」

アズール「…不幸にも自分を傷付けていなければやっていられない事情がどうやらある様子ですね

芸能界はストレスも多いのでしょうか…お前達、彼を「お客様」として今後も様子を見続けていなさい」

僕も色々見て、彼が何かしら救いを求めている様子である事を察しました

そしておそらく彼の事ですから、他人に頼る真似は絶対にしないでしょう

彼の中にはきっとプライドがあると思いますから

ですからそれをへし折って差し上げなさいという意味も含めて、こう言ったんです

そのプライドが彼自身を不幸にするなら、そんなものはない方が良いに決まっているんです

僕は困っている方がいれば救ってあげたいと思う「慈悲深い」紳士ですのでね

彼を今後も「1人の客人」としてもてなすくらいの事はやって当然でしょう？

アズール「…少し彼の周りについて調べておきましょうかね

彼に伺ってみましょう、彼のご友人であるセレン・ジェリシアに」

僕はそう言い、今晩はやる事が増えるなと感じながら仕事に赴く事にしていた