The invisible story 2 (ページ20)

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第64話ページ20

『…』

あ、紅茶は本当に美味しい紅茶だ

なんか無駄な労力使ったな感がある

いや、というより僕もよくこの状況で何も言わずにじっとしてるよな

何なんだこれは

ジェイド「如何です？」

『…美味しい、です…』

ジェイド「お気に召したようでしたら何よりです

フロイドが今料理を持って来ますからね」

いや、何でそうなるのよ

僕この人に料理作れって一言も話していないんですけど

でも本当にさっきの人がドア開けて料理持って来て、僕も何なんだこれはと思いながら呆然とそれを見やる

『…』

フロイド「俺が作ったのぉ

モストロ・ラウンジで人気のパスタだよ

シーフードは苦手？じゃないよねぇ」

いや、別に好き嫌いないけど

ないけどあまり最近もの食べる事に拘泥していないしむしろご飯食べる事ができなくてこういう重たい料理を普段口にしていないからどうして良いものか普通に困っている

僕最近まで点滴と栄養ドリンクみたいな健康料理で繋いできていた人間だし

パスタとか出されてもちょっと

この前の寮で歓迎会やられた時も料理ほとんど食べないで残しちゃったし

フロイド「…？どしたの？パスタ嫌い？」

『…いや…』

何て説明したら良いもんか

その、よく知りもしない相手に自分の事情逐一説明するのもどうなの

そう思っているけど今この状況が証明しているように、言わないと何も始まらないのは明確だ

フロイド「俺が食べさせてあげよっかぁ？

美味しいから食べてほしいんだよねぇ

つかさっき思ったけど軽すぎ～モデル体型って奴にしたって肉なさすぎでしょ

もっと太った方が良いと思うよ？」

いや、待て

何でこの人僕がモデルな事まで知ってるの

そんなに僕有名じゃないでしょ

でもまぁ雑誌に出てる時点でそこは文句言えないなと思う

フロイド「ほら、あーん」

『…はい？』

僕は流れについて行けず、気付けば口元にフォークで掬われたパスタが運ばれている事に気付く

ちょっと待ってよ

何でこの人達全く僕に配慮してないんだ？

フロイド「食べてよぉ

俺食べてくれないと寂しいなぁ」

『…えっと…』

あの、その笑い方で僕に疑うなと言う方が無理だと思いますけど

全く言葉と心が一致していないように思える

でもまぁここまでされて食べない方が無理だ

口に当たってるし、パスタ

フロイド「口開けて」

『…ッ…』

僕は諦めたように口を開けて、入れられたパスタを食べ始めていた