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第334話 ページ44

どんな者にも悩みはある


幸せが必ず不幸を呼ばない訳ではない


豊かに生きていても、何でも与えられていてもそれを受け取る事ができるとは限らない


そして受け取れない存在だって確かに存在する


それを欲しいと願うから、人は争いを好むのだ


しかし人間には力がある


人間だけでなく、他の種族にだって、自分を生かす術は必ず存在する


自分の生きている意味を、縋り付ける何かを見て、それを自分に投影して「命」として大切にしているのだ


食べ物、子供の時から大切にしている人形、あるいは絵本


住み着いた土地


自分と血の繋がりのある誰か


歴史の偉人


それらを見て自分を高めていって、たとえ過ちを起こす日が来ても、そうやって命は生き続ける


この世界は命で満ち溢れている


それがどれほど素晴らしく、美しいものか


ジェイド「…!!Aさん!?」


そしてその命が与える重みは何よりも失い難い大切なものである


愛を教えてくれる


心を、心臓の在処を教えてくれる


自分が良い存在だと思わせてくれる


自分を時に優しい存在にして、あるいは情に溢れた感性豊かな存在に仕立て上げる


それが命の真価であり、彩りを与えるものそれ自体が命の存続に必要なものであろう


それを失いたくないと思うから、歴史の刻まれるこの世界でここには未だに多くの命が存在する


それを守りたいと願うのは素晴らしい願いで、そのために動ける存在は美しい命と言えよう


たとえ、どんな悪に染まろうと


フロイド「…A、おかえり」


2人のウツボの人魚は白い髪をした少女を抱きしめる


涙目になって、そして帰ってきた事に本当に喜んでいるように


ジェイド「…貴女がいなければ、僕達は面白くないんです

どうか、二度とこんな真似はしないで

絶対に僕達の手を離さないでくださいね」


フロイド「A、俺ぜってーに離さねーから

勝手にいなくなるとか許せねーよ

それもらって良い?」


『…預かるだけ

これを使いたい日は返してね』


フロイド「いーよ、俺がずっと持っててあげる

ありがとう、Aちゃんの心臓だ

…綺麗で重たいねぇ」


ジェイド「…いただきます

…ありがとうございます、Aさん」


倒錯するこの物語はそして収束する−−−ー

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作者名:ユウ | 作成日時:2020年12月19日 19時

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