ウチとアンタと、キミの言の葉10

第373話 ページ3

そして泣いている自分より歳が下の女の子を抱いていれば、ウチの横でまた複雑な顔しよって笑う人間がいる


簓「…すまんな、俺がおるせいでお嬢ちゃんからAを奪ってまうわ

俺の事責めてええよ、ホンマに我儘でごめん」


『…ホンマやよ

何1人の女の子泣かせとるん』


簓「お前がそれ言うのは違うんとちゃうん？

でも…お前が慕われるんはそういう所なんやろな

きっと皆お前の事お嬢ちゃんと同じで好きなんやで」


『…』


簓「俺かて盧笙かて同じやわ

そない人に気遣ってやれるんに、嫌う理由があらへんもんな

優しい子に育ったんやね、いけずなんは余計な所やけどそこは俺も認めとるわ」


『…うるさいわ

一言多いんやよ、大概』


簓「けどAちゃん、俺がお前の事好きなんは忘れへんで

お嬢ちゃんに先に言われてもうたから後になってもうたけど、それは俺も譲れない思いや」


そないやり取りをしていれば、ユウちゃんは自然と泣き止んでウチら2人を見る


監督生「…先輩のお兄さんに恨み言を言うつもりはありません

先輩は皆から慕われる、お母さんみたいで皆の事守ってくれる大きな存在なんです」


簓「…」


監督生「太陽みたいに笑って、月みたいに暗い影を照らす

そんな先輩がいなくなるのはどこか心細くて…」


簓「…分かるで

こないええ女欲しくならない方が変な話よな」


監督生「…！」


簓「分かるけど、俺にも譲ってもらいたいんや

天然タラシなこない俺の妹が悪いんやけど、そない女を欲しい思とるんはお嬢ちゃんだけやないん

我儘なんは俺も一緒や、兄妹揃ってお嬢ちゃんの心抉ってごめん」


監督生「…良いんです

先輩は私のものじゃありません、だから先輩の道を自分で邪魔して止める気はないんです」


簓「…おおきに

けどな、罪滅ぼしくらいは俺にもさせてや

何もできないんに1人の女の子泣かせて、ほんでフォローもせんと独りよがりで帰るんは俺かて俺の気を許せへんよ

せやから、笑かしてから帰るから」


簓はそない言うと、1人で静かに笑ってユウちゃんを暖かく自分の笑顔で癒し始めていた

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