ウチとアンタと、キミの言の葉9 (ページ15)

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第337話ページ15

そして意識が落ちる数秒前に、ウチは何かを見た気がした

見覚えのあるようなないような白い猫が黒い猫を圧倒するような姿

例えるなら招き猫のような、あるいは機械仕掛けのロボットのような見た目の猫や

笑って何も言わんと、でも攻撃だけはしでかす生き物とは呼べないどこか簓によう似た猫

それが一体何なのか、ウチも考える余裕はない

『…』

眠いんやよ、今はとても

穏やかに眠りたいん

疲れたんやよ、痛いのに耐えるのも訳の分からん事に一々ウチを消費するんも

もう何もかもが面倒い

面倒いから息だって止めたい

だけどウチの身体は酸素が足りへんで息だけは深くして他の事は何もできない

その度に呼吸をウチの血で塞がれて溺れていくような感覚をウチで感じる

簓「…！！A！！」

『ゴホッ…ゲホッ…』

もう言の葉も枯れ果てて、ウチの意識は誰が生かしてるのかも分からん

何も見えなくて、何も聞こえない宙か水の中に浮いとるような感覚がしている

簓「…ッ…

…まだ逝かへんよね？」

何も聞こえない、どの言の葉も何の意味を持っているか分からない

ただ丸く蹲って、身体が冷えないようにウチでその温度を失わないようにと温めるだけ

多分次ウチが目を覚ましたら、何も覚えてへんで今生きてる理由も分からないんやろな

そない事を思いながら、ウチは普通に眠るみたいに意識を手放す

『…』

簓「…」

そこで昔のウチが見た、何よりも苦手な顔を浮かべる男がここにおるんやって事をウチで知る由もなく