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第283話 ページ9

そしてウチは少しだけ世界と離れる準備をする


1人でいつも歩いて、ほんでどこの誰とも縁は持たずにひっそりウチが消えてもええように


『…この世界にも思い残す事がないんやったら、消えるんは時間の問題やもしれんな』


そない言うてるウチはいつだって笑ってる


だって未来のある者をウチで邪魔しとうないもん


ウチがおらんでも成り立っていく世界にウチが情を動かす訳でもない


『…暇な文化祭もウチでひっそりと懸命に取り合っていこ

もしかするとウチが学校の皆の青春邪魔してまうかもしれへん』


そない言うて、盛り上がる学園とも一線を置く


ウチはウチでひっそりと、周りの楽しんでいる学生達の世界は学生達の世界で


『…何もウチ手伝いとかしてへんけど、皆しっかりやるんやね

高校の時ってこんなだったかな、あまりよう覚えてへんよ

でもウチの学生時代と何もかもが違うわな』


自分の今まで生きた世界と比較してみて、ウチは高校の頃何やってたっけと思い起こす


『…何も思い出せへんな

あまり思い入れのある思い出も…』


そこまで言って、自分の学生時代を振り返って、ホンマに何もせんと青春という一瞬をおざなりにしていた事だけを思い出す


『…勿体ないわな

時間はいつまでも続く永遠なんやのうて、限りがある一瞬の出来事なんに』


終わる事が分かって、あるいは終わっている事が分かって振り返る事のできる事もある


でももう戻れないのを知ってるから、大人という生き物はきっと振り返らずに次のステージを生きるのだ


『…ほんならあとウチは何回死ぬ?』


今までの自分というのは今まで死んだ自分の蓄積のような気がする


事あるごとに終わりを迎えて、その度に次が巡ってホンマに終わる時までを生きる


それが「人生」という名前のつけられた、長い時間の自分と向き合う旅だ


『…?』


そない色々考えていると、ふと空は黒い雲に覆われる


『…天気が悪うなってきたな

外のステージで何かやるんと違うの?ヴィル先輩の晴れ舞台なんに』


そない言うて、ウチは外のステージの様子を見に行こうと思い立つ


何だか少しの嫌な予感を感じて


『…何や嫌な雲や

空が黒くて、これだと学園祭どころやないで

ただの雲と違うんやないの?』


様子の変わった空に、ウチはこれがただの悪天候やない事をつい窺って、自分が抱くいらない焦燥感を払拭するために黒雲の立ち込める方向に向けて歩いていた

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咲樹(プロフ) - まさかの監督生と出身同じで軽く運命感じてます!これからも投稿頑張ってください! (2021年12月2日 12時) (レス) @page29 id: b53a17c756 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウ | 作成日時:2021年8月30日 7時

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