ウチとアンタと、キミの言の葉8 (ページ49)

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第323話ページ49

ジェイドside

ジェイド「…なら、僕達は一体何をできると言うのですか？」

学園長「…ジェイド君の気持ちは分かります

慈悲深いオクタヴィネル寮生であるが故に、友人の損失を嘆かれていると言う事でしょう？

そこは私も同感いたします」

ジェイド「…」

学園長「ですが本来は縁(えにし)の形成というのは魔法を逸脱した奇跡に近いもの

そして「自意識」が起こす一番初めに形成される魔法なんですよ」

ジェイド「…！」

学園長「我々は自然に自分の肉体と精神を完全に分離して切り離す事なく、元に戻すための斥力を持って今という時空を生きながらえています

それは生まれ持った本質的な存在で、外来的に他者に影響を及ぼされるというのは「不自然」なんです」

ジェイド「…だとするのなら…」

学園長「ですが彼女に関して言えば、本来の肉体を元の世界に置いてきているまま、それが損失する事もなくこの世界を漂って存在を確立させている

そしてそれを分かっているのか分かっていないのか、本来の「肉体」の持っている縁(えにし)とだんだん離れていっているんです

つまり「別の人間」に変わる可能性を秘めてしまっているんですよ、長くこの世界に居座り続けた故の運命ですね」

フロイド「…じゃあ何もかも茎ワカメが悪いって言うの？」

学園長「本来はそう申し上げたいのですが、私は優しいのでこう言わせていただきましょう

…彼女は「死んで、死ぬ事で生まれ変わる可能性を秘めている」のです」

ジェイド「…！？」

学園長「彼女は元来の肉体との融合が今は困難な状況です

ですが彼女の肉体も魂も粒子となって消失して、世界を漂いそれが奇跡的に違う人間として生まれ変わる可能性を秘める肉体に繋がれば、彼女はある意味では「輪廻転生」という形で復活する事は叶います

ですから彼女は可能性の卵なんです」

フロイド「…」

学園長「分かりますか？死というのが何もかも不幸な出来事な訳ではないのですよ

巡る命があるから世界は回り、そして彼女は「次」に向けて今は準備を進める段階…

そう肯定的に捉える事が今の我々にできる事です」

そう言われてしまって、それは暗に「僕達に出来る事は何もない」と分かって、学園長の言葉を信頼はせずに僕達でその彼女を繋ぎ止める方法を見つけていく方針に変えていきました