ウチとアンタと、キミの言の葉8 (ページ47)

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第321話ページ47

ジェイドside

そんな話を聞いているからか、彼女との時間が短くなっている予感を感じているからか、僕達の中には焦燥が走って前を向けない

彼女が前を向いて生きているのに対して、時間に余裕のある僕達の側が止まってしまったかのような焦燥と不安を拭えない

きっとそれは「彼女と別れたくない」「別れを認めたくない」という直感的な要素により生まれる一時の気の迷いのようなものなのでしょうけど、彼女が生きる限り皮肉にも僕達はそれを抱き続けるのでしょう

では彼女は果たして、一体どんな終わりを望んでいると言うのか

フロイド「…ジェイド」

ジェイド「…！」

フロイド「俺やっぱり嫌なものは嫌だって言うよ

学園長の所に縁(えにし)を刻む方法聞きに行こうよ、俺らで無理矢理繋げちゃえばそれで良くね？」

きっとフロイドも、あるいはきっとアズールにも「僕達」と呼べる側には時間が短い

短くなって命の火が消えているのは彼女の方なのに、その彼女がいない世界を受け入れるのが怖くて、その日が来るのを拒む僕達がいるから「僕達」の側に残されている時間が短くなっていっているのだ

いつまで共にいられるか

いつまでも、という永遠を誓約する事ができないと言うのなら、それを否定し運命を変えるまでに何が一体必要で、それまでにどのくらい時間がかかるか

彼女がここに残っていられる時間と、僕達に残された時間の比べ合いが永遠に続く不幸のように思えてそれを払拭してしまいたい

フロイド「ジェイドは行かない？」

ジェイド「…行っても良いなら行きます

僕もこの時間が長く続くのは嫌です」

フロイド「向こうも折れて「生きる」って言ってくれれば良いのにねぇ

俺らと一緒にじゃなくて、元の世界で生きるでも極論良いからさ」

僕達に、彼女に、世界に残された時間は短い

決してその暖かな火が途絶える事のないように、この手で掴めるものがあるのならと願って僕とフロイドは学園長室へ縁(えにし)の形成に纏わる話を伺いに行っていました