ウチとアンタと、キミの言の葉8 (ページ20)

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第294話ページ20

アズールside

－－－－似ている

僕の抱いた印象はそれだった

監督生さんとサシャさんの2人は、お互いに同じ世界から来ていると言われても違和感を感じない程に「根」が似ている

当然彼女と監督生さんの2人は姿も言い表し方も何もかもが違う

でも根幹にある想いは似ている

世界を受け入れ、協調を選ぶ

自我を貫いて強くいなければ生きてなどいけないのに、それでも世界との距離感は弁えた上で世界を受け入れ自分は世界に干渉をしない

その割に芯は芽生えていて、自我を失う訳でもなく世界という大きなものを前にして尚前に向けて立ち続ける

それが彼女達の持っている、確かで強い静かなる魂－－－－

アズール「…少し待っていてください」

サシャさんの側が監督生さんとの話を受け入れられるかは分からない

根が似ているからと言って、前提として成り立っている条件があまりにも2人は違う

まずサシャさんは元の世界に帰る気はない

そして監督生さんの側は帰る意思もあり、彼女と違って「生命が確立している」

虚な影と言われ消える以外の運命がない彼女とは何もかも前提が違う

だから話が通じるかが分からない、という言葉を打ち消す事はない

だけど、2人にならなければ分かり得ない会話がそこにあるのは僕にも分かる気がして、邪魔する気にもなれないので一応は聞き入れる事に決める

アズール「…良いでしょう、願いは聞き入れます

ですが彼女を呼ぶ前に、フロイドとジェイドにも同じ話をしてください

貴女に誤解を生んだままでは色々とこっちも都合が悪いので」

監督生「…」

アズール「2人に同じ話をして、2人の事も説得ができたらフロイドに彼女を呼んで来てもらいます

彼女とまともに取り合う事ができるのはフロイドだけです、訳の分からない言の葉を並べる者同士分かり合える部分がきっとあるのでしょうね」

そう言って、僕はまず2人を呼ぶ

ジェイド「…お呼びでしょうか、アズール」

フロイド「小エビちゃん、アズールに何おねだりしたの？

聞いてもらえたぁ？」

2人は呼べばすぐに来て、監督生さんは同じ話をする

監督生「サシャさんに会わせてください

先輩達がサシャさんの事守ってるから近付けないんですよね？今日は先輩を私に一晩で良いので貸していただきたいんです」

そう彼女が言えばフロイドもジェイドも拍子の抜けたような驚きの顔を浮かべて、僕と同様に監督生さんの真意を窺うように会話を繰り出していました