ウチとアンタと、キミの言の葉8 (ページ12)

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第286話ページ12

ヴィル「…」

ウチの言葉にヴィルがどない思いしとるんかはウチも知らんけど、沈黙して動かないままウチをじっと見よるヴィルはウチのよう知るヴィルに近付いていた

見た目は禍々しくてヴィルらしくもないのは事実やけど、本質的な所はきっと戻っているんやろなって思うような目つきや

エペル「…デュースクン、今ならきっと…！」

デュース「…！ああ、そうだな

…しっぺ返し(ベット・ザ・リミット)！」

ヴィル「…！！」

そしてホンマに背後からヴィルを仕留めたんか、後ろから誰かの掛け声とそれを受けて驚く顔を浮かべるヴィルの顔が見える

ウチの出る幕はもう終わったんやなって気持ちと、それから恐らくはこの件は方が付くんやろなって確信が持てる気がしてウチもこれ以上は取り掛かる気もない

『…ヴィルは眠ったんやね

起きるやろか？後の事は兄ちゃんらに託して行くわ』

エース「…！？」

『邪魔したな

ウチはもう行くで、この後兄ちゃんらがどないするんかはウチにも知らんけど、後は兄ちゃんらがどうにかする方がきっとええやろ？』

そない言うて、外野の周りに向けて笑って言う

きっとウチを無責任やと思っとるんやと思うけど、無関係のウチが取り合ってどないなるもんともきっと違うんはウチにだって分かる

それにそもそもウチがやるのは「冷静になれる時間の準備」だけや

冷却期間を設けると互いに頭冷やして色々本音で話せるようになったりするもんもあるやろ？

それが後から喜劇を生んでいくか、悲劇を生んでいくかはウチやのうてその当事者の決める事やんね

『…ウチには誰かを温める温度なんてないんやよ

優しさとか温かみとか、そないもんはウチはどこかに置いてきとるんや

せやから今を生きるエネルギーに満ちとる若い兄ちゃんらでやり』

ジャミル「…！！」

『ヴィルがまた元気にウチの前で嫌な顔して褒め言葉受け取らん男に戻ったら、ウチはまた元気にヴィルに褒め言葉を吐きに行くで

好きって言うんは人に止められるもんとも違うやろ？折れて認めてくれるようになるまでウチはウチの「好き」を伝える気やから覚悟するんやよ』

そない言うてウチは周りに向けて命いっぱいに笑て、その場を静かに退避して行く事に決めて自分の足を兄ちゃんらとは逆方向に動かしていた