キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ49)

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第93話ページ49

ほんで迎える2学期の始業式

その日は授業はなくて、ただ午前中にやる意味のあるかどうかも分からない式典をやってその後は自由に解散な1日やった

ウチが1人で暮らし始めてから数日は経過してたから、あらかたウチの中で気持ちのケジメはついていて、ただ余計家に帰る意味もなくなってまた家に帰る前に自習室で時間でも潰すか思っていい加減に考えてウチで1日を過ごしていた

人間は変化を嫌う生き物やって言うけど、例外に当て嵌まる事もなくウチは日常の変化を嫌って「いつもと同じ」ウチを過ごす予定でいた

ただ意味の分からない静かな笑みを浮かべて、ウチはいつもと同じ足取りで自習室へ向かおうとしているその折やった

『…？』

ウチであまり聞き慣れない音がよく聞こえてきて、ウチはその音を追いかけて足取りを変えていた

今思うならウチは音に導かれて、あの日ウチであのセンセに巡り会っていたんと違うかって思える

ウチは誰が弾いてる奏かとかそない気持ちは置いといて、音に反応して動く動物のように自然と自分が普段見慣れていない景色にいるのをウチで感じていた

音を追いかけて行った先にあるのは、ウチで音楽の授業を受ける時にだけ行く音楽室

『…？』

何故その日ウチで扉を開いてみようと思ったのかウチでも分からない

だけど音楽にはそない人を動かすエネルギーが詰められてるって言うんは、ウチも当事者としてウチで理解していた

自分の行動に疑問を抱いている間もなく、ウチはその音の根源を追うようにその扉を開く

『…！！』

ウチはその日、非常勤の講師にも関わらずこないどうでもええ日にガッコに来ていたそのセンセと巡り会う

センセはピアノで自己表現のように指と身体全体を揺り動かして、まるでピアノと一つにでもなるかのように音を奏でていた

音は生きていて、センセは音に命を与えるようにピアノに神経を使っているようにも見えた

『…』

ウチはそれに驚きとか呆気に取られるって言うような気持ちをウチで抱く

今思えばウチは「音楽」ってもんにそこまで深入りした覚えのない人生を今までは辿っていたんやと思う

けど「本物」を知ってしまうと、もう知らないでいるウチには戻れない

その日出会ったものはウチで「本物」と名前をつける事のできる、「生きた人間」の奏でる音楽やった

葵「…」

『…ッ…センセ！』

葵「…？」

ピアノを弾き終わったセンセに、ウチは何故かウチで声をかけていた