キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ48)

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第92話ページ48

夏休みに入って、確かその頃合いに簓と盧笙はお笑いの王者決定戦へ出場する事が決まっていた

ほんでその大会の行われる日ウチは1人留守番をして、大会をウチはテレビで見ておった

ほんで準優勝なんかして、「すごいやん」思ていい加減にウチで流して新学期を待つ8月の後半頃、突然事件は起こる

『…？』

確かに盧笙－－その当時のウチは躑躅森さんって呼んでいて簓の知人やから言う理由で深い繋がりを築いていない相手やったんやけど－－がその大会の後になかなか家に来ないってウチでも違和感は感じた

だけどその裏に何があるのかあまり深追いする真似をしていないから、ある時突然雨の降り頻る日に簓がずぶ濡れで帰って来た事でその正体を掴む

『…どないしたん？』

簓「盧笙と少しな…」

聞くと盧笙は簓とコンビを続ける事ができない言うて簓に真面目に解散の話をしたんやと言う

ほんで簓もそれを受け入れて、相棒を失って簓は不安定になっとる言う訳やった

だけどそのウチで何ができる訳でもないから、ウチはネガティブをウチで半分握ってやったけど、その他にはウチで何もせんと好きなようにさせた

結果、簓は自分の相棒見つける言うて東都へ1人出かけた

本気でウチが1人で暮らすようになったんはその頃の話で、ウチが高校1年の2学期くらいからウチは年齢に見合わない一人暮らしをしていた

今思えばウチはこれ以降一人暮らしができる状況に巡り合ってへんねやから、貴重なウチの1人の時間やったって言えばその通りになる

でもまぁあの頃のウチは1人置かれて、多少は不安定になってたんやろ

『…いらん

ウチにこないもんはいらんわ』

何故か簓のいなくなった家で、ウチは家からウチの私物を徹底的に除去したい衝動に駆られてウチで私物の整理をした

多分ハナからウチの私物は多くない方やけど、それでもゴミ袋4つがいっぱいになるくらいにはウチの思い入れのあるもんは捨てた

中学の時の教科書も、制服や中学校の時に着ていた服も、他にも色々ウチの片鱗となるものは殆どウチで捨てた

何かウチで生まれ変わる予感と、その代わり簓と盧笙のおる過去を証明するようなアルバムの中のビラだけは捨てられないで、ウチは1人の家で心が荒んでいるウチを冷静に実感する

『…』

そない心に、あのセンセの「音」は響いた

ウチの心が曲がり切る事もなくウチで保てていたのは、あの日ウチで「本物」の人間とウチで巡り会えたからやって思う－－－－